「どの試合でも『より良い自分』になろうと努める」

サンダーは現地12月13日、NBAカップのセミファイナルを戦う。ファイナル4が行われるラスベガスに移動して前日練習を行った後、エースのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが会見を行った。「僕はすべての試合で勝ちたいと思うタイプで、9歳の時から何かを懸けてプレーして、勝つチャンスがある以上は常に勝つことを目指してきた。今回も同じ気持ちで勝利を目指す」と彼は言う。

セミファイナルの相手はスパーズで、勝てばファイナルでニックスvsマジックの勝者と対戦する。勝負は時の運だし、一発勝負では何が起こるか分からないが、優勝した昨シーズン以上に盤石の強さを見せるサンダーは、優勝の大本命だ。

今のサンダーは歴史に残る好成績を残している。2015-16シーズンのウォリアーズは73勝9敗という年間最多勝利記録を打ち立てたが、この時は開幕から25試合目で初の黒星を喫した。つまり今のサンダーは、10年前のウォリアーズと同じ成績であり、『王朝』を打ち立てた若き日のウォリアーズに肩を並べるところに達しているのだ。

その記録に意味を感じるかと問われたシェイは「もちろん」と答えている。「それがどんな形であっても、僕にとって勝利には意味がある」

もっとも、もう一つ提示されたNBAでの連勝記録、1971-72シーズンのレイカーズによる33連勝については「知らなかった」と言う。開幕9試合目に1敗を喫したサンダーは、現在16連勝中。「まだ折り返し地点で、先は長いね。あまりにも遠すぎるので記録のことを知らなかった。でも、願わくばそこに到達したいと思うよ」

NBAは長年、レブロン・ジェームズやステフィン・カリー、ケビン・デュラントやジェームズ・ハーデンといったビッグネームの支配下にあった。しかし、昨シーズンのサンダーとペイサーズによるNBAファイナルは若い世代の台頭を象徴していたし、今回のファイナル4に残ったチームも総じて若い。

特にサンダーは27歳のシェイさえベテランの域にあり、極端に若いチーム構成となっていて、チームのサイクルが全盛期に差し掛かるのはまだまだ先だろう。「若くして追われる立場となったことをどう感じているか」と質問されたシェイは、「何とも思っていない」と答えた。

「僕たちは自分たちを追う側だと思ってプレーしている。より正確に言えば、追うか追われるかじゃなく、自分自身の向上を考えてコートに立っている。どの試合でも『より良い自分』になろうと努める、そういうタイプの狩りをしているんだ」

では、個人成績はどうだろうか。シェイはここまで平均32.6得点で、これはルカ・ドンチッチの35.0得点に次ぐリーグ2位の数字。しかし、シェイのプレータイムはドンチッチより約4分短い。サンダーは大量リードを奪った第4クォーターでシェイをプレーさせ続けることなく、ベンチに戻して若手にプレータイムを与える。相手の士気が落ちた勝ち試合の終盤は、最も楽に得点が稼げる時間帯なのだが、シェイはそれを活用していない。

「その時間帯にプレーしていたらスタッツがどこまで伸びるか、正直に言うと今まで一度も考えたことがなかった。だから少し想像してみたけど、あまり興味はないね」とシェイは静かに答えた。

「あの時間帯を休むことで、僕の身体に蓄積する疲労や負担が少し軽減される。それがシーズンを通して積み重なれば、結局は僕に大きな利益をもたらすと思う。特に昨シーズンに長いシーズンを経験して、それがどれだけ身体的にキツいかを経験した後だけに、許される限り体力を温存したい。それが僕にとっての最高の瞬間をさらに引き上げてくれると思う」

タイトル争いの大本命とされるチームが崩れるとしたら、それは慢心や油断が理由だろう。しかし、サンダーにその気配は全く見られない。シェイに限らずそれぞれの選手が昨日の自分よりも良い選手になることを目指し、その意思の集合体としてチームも成長している。