「何かを証明しなければいけない相手は自分たち自身」

現地12月13日にはNBAカップのセミファイナル2試合が行われる。ニックスとの対戦に備えてラスベガス入りしたマジックのパオロ・バンケロは、前日練習を終えて「この舞台でプレーできるのは素晴らしいこと。チームとしてこの機会を楽しみ、勝利のために全力を尽くす」と抱負を語る。

勝てば3日後にファイナルを戦い、その後にも過密日程が続くことになるが、ジャマール・モズリーは「我々は先のことは考えない。目の前の一戦のためにコンディションを整え、準備を進めるだけで、ファイナルのことも今は頭にない」と断言する。

「ラスベガスで試合をしてタイトルを争うのは素晴らしい機会だし、ワクワクしている」と言うチームリーダーのジェイレン・サッグスは、相手がニックスであることでさらに興奮している。

「僕はニックス戦が好きだ。今シーズンはすでに3回対戦しているけど、すべて接戦で刺激的な試合になった。質の高いバスケをする相手で、僕たちにとってはチームを高める良い試練になる。だから今回も万全の準備をして戦いたい。『鉄は鉄によって研がれる』という言葉があるけど、マジックとニックスはその関係にあると思っている。コートに出て競い合い、そこから学びを得る。その機会を十分に活用するためにも、集中して試合に臨みたい」

ニックスが全米トップレベルの知名度を誇る名門であるのに対し、マジックは全国区の人気を持つチームではない。だからこそマジックは、名門クラブに自分たちのバスケで食らい付き、正当な評価を勝ち取りたいというアンダードッグの野心を持っている。

「もちろん、自分たちの努力を知ってほしい、評価されたいという気持ちはあるよ」とサッグスは言う。「でも、僕らの試合は全国放送で中継されることも少ないし、知名度を気にしても仕方がない。僕らは普段から自分たちにフォーカスし、コート上で何が起きているかを気にしている。だから今回もただバスケをプレーするだけだし、何かを証明しなければいけないとしたら、その相手は自分たち自身だと思っている。僕らはこのカップ戦で優勝したい。その目標を達成することだけに集中するよ」

フランツ・バグナーは戦線離脱しているが、バンケロはケガから復帰してリズムを取り戻しつつあるし、新加入のデズモンド・ベインもここに来て調子を上げている。それでもニックス戦のカギとなるのは、彼らの得点力よりも相手のエースであるジェイレン・ブランソンをどう抑えるかだろう。そこで最も大きな役割を担うのはサッグスであり、彼自身もその仕事に高いモチベーションを抱いている。

「ブランソンはオールNBA級の選手であり、簡単に止められるとは思わない。やるべきことは、彼を快適にプレーさせないためにできる限りの努力をすること。フリーでシュートを打たせたり、イージーな得点の機会を与えない。そのためには最大限の集中が求められる。しっかり準備して試合に臨むつもりだ」