スポールストラはヒートを率いて17年目で初の8連敗
この何年か、誰からも称賛された『ヒート・カルチャー』は偽物で、ただジミー・バトラーの勝負強さだけのチームだったのではないか、との疑念がヒートの周辺では高まっている。
現地3月17日、ニックスに大敗を喫したヒートはこれで8連敗で、借金が10となった。ヒートは試合開始から12-0のランで好スタートを切り、第1クォーターを29-18と圧倒したが、その後はニックスの持ち味ばかりが目立つ展開となった。
ニックスはジェイレン・ブランソンが足首の捻挫で戦線離脱してから、苦戦が続いていたが、この試合では交互に出場するカール・アンソニー・タウンズとミッチェル・ロビンソンがいずれもペイントエリアでアデバヨを圧倒し、ブランソンに代わってミケル・ブリッジズが28得点とオフェンスを引っ張った。
ヒートはこれに対抗できず、ギアを上げようとしても焦ってミスが出るばかりで、試合を通して23アシストに対し20ターンオーバーと、闘志は空回りするばかり。ジミー・バトラーがヒートの一員として最後にプレーした現地1月21日のブレイザーズ戦の時点で21勝21敗だった成績は、それから8勝18敗と急降下している。
レギュラーシーズンは残り14試合。ファーストラウンドをホームで開催できる6位は現実的な目標ではない。プレーインを突破してプレーオフには進めるだろうが、そこで期待できるチームかと言えば、否定的にならざるを得ない。
バトラーの去ったヒートでは、オフェンスをタイラー・ヒーローが、ディフェンスをバム・アデバヨが引っ張ることになったが、ヒーローは好不調の波が激しい上に、クラッチタイムの勝負強さで物足りなさが残る。アデバヨも自信を失ったかのようなプレーが続き、バトラーが抜けた分の得点を補おうとするもシュートが決まらず、それがディフェンスのリズムまで崩している。
以前のヒートでは、誰かが抜けても『ネクスト・マン・アップ』の精神で若手が次々と台頭し、チームに新たな勢いを与えていた。ところが今、バトラー退団で若手のチャンスが増えているにもかかわらず、その勢いは生まれていない。若い選手たちは何をすべきか迷い、指揮官エリック・スポールストラはそれを嫌ってベテランを起用している。そのベテランたちも善戦はしても劣勢をひっくり返すだけのエナジーは発揮できていない。
スポールストラはヒートを率いて17年目にして、初めて8連敗を喫した。「全員が試されている。私も含めて、誰もこの試練から逃れることはできない。結局のところ、良い仕事をして結果を出すしかない。泥に足を踏み入れ、地に足を着けて踏ん張るんだ」と指揮官は語った。
タイラー・ヒーローはフィールドゴール18本中10本を決めて20得点を挙げたものの、アシストは1つだけで、3ポイントシュートはすべて失敗、フリースローの獲得もゼロと、オフェンスを引っ張る役割を果たせなかった。
「正直、気分は良くない」とヒーローは言い、こう続けた。「結果は受け入れるけど、あきらめたり自分を哀れんだりするつもりはない。誰も僕らに同情はしてくれない。僕らは自分たちでこの窮地を乗り越えるしかない。こんな時だからこそ、僕らは今まで以上に団結しなきゃならないんだ」
Tough bucket, T ‼️ pic.twitter.com/zmUkJgcrh0
— Miami HEAT (@MiamiHEAT) March 18, 2025