故障者続出でセルティックスと競り合うも、勝利を逃す
不運続きのペリカンズが、また大きなアクシデントに見舞われた。現地1月31日のセルティック戦でデジャンテ・マレーが自分のシュートミスのリバウンドを取りに行ったところで接触がないまま足首を押さえて倒れる。助けを借りてコートから去った彼は、そのまま戻ることがなかった。その後、アキレス腱断裂でシーズン終了であることが発表された。
ペリカンズはザイオン・ウイリアムソンとブランドン・イングラムの2枚看板が不在。さらにハーブ・ジョーンズ、ダニエル・タイス、ジョーダン・ホーキンスもケガで欠場しており、第1クォーターにたった8分のプレーでマレーを失ったが、ここから残った選手が結束してセルティックスと互角に渡り合った。両チームとも2桁のリードを奪うことのない接戦となったが、同点で迎えたラストプレーでジェイソン・テイタムのゲームウィナーを浴び、116-118で敗れた。
ペリカンズのオフェンスを引っ張ったのはトレイ・マーフィー三世だ。フィールドゴール20本中15本成功、3ポイントシュート8本を決めて40得点を記録。最高のパフォーマンスを見せた試合の後でも、彼は「つらいよ」と悲痛な表情を見せた。
「デジャンテはこれまでも多くの苦労をしてきたんだ。その彼が倒れるのを見るのはつらい。神様は大きな何かを伝えるために試練を課すことがあるけど、今がその状況だと思うから、できる限り彼を支えたい。今日は彼のためにプレーするつもりで試合に集中した。バスケに没頭することで様々なことから逃れられる。高校や大学の頃、何かトラブルがあると真夜中に体育館に行って練習したのと同じようにね。彼を失望させないように、できれば勇気付けられるように全力を尽くしたつもりだ」
マレーは今シーズンの開幕戦で左手を骨折し、1カ月の戦線離脱となった。さらに開幕前には母親が病気で倒れており、プレーに集中できない時期が続いていた。今も右手の捻挫、左肘に痛みを感じながら戦力不足のペリカンズを支えていたが、その無理は報われなかった。
12勝37敗で西カンファレンス14位。プレーオフへの扉が閉ざされた状況で、さらにマレーもシーズン終了のケガを負ったことで、トレードデッドラインの『決断』にも影響がありそうだ。ここまで18試合にしか出場していないイングラムは今シーズン限りで契約満了となる。昨年オフの時点で放出するのが妥当だっただろうが、ここまでトレードが決まらないのは市場でのニーズがないことを意味する。ザイオンも身体は絞ったが継続してプレーするには至っておらず、彼の処遇も難しい判断となりそうだ。
再建へと舵を切ろうにも、新しいサラリーキャップの厳格なルールが市場を硬直させ、ジミー・バトラーやディアロン・フォックスのトレードも遅々として決まらない。閉塞感に満ちた状況ではあるが、トレイ・マーフィー三世がプレーに没頭して40得点を挙げたように、ペリカンズのフロントも前向きな一歩を踏み出すことが求められる。