「NBAで初めてフリーエージェントを楽しめる」
今シーズン、セブンティシクサーズはジョエル・エンビードを筆頭に中心選手たちが相次いで故障離脱した結果、24勝58敗と低迷。7シーズン連続で出場していたプレーオフすら逃すなど、失意の1年間となった。エンビードはわずか19試合出場、ポール・ジョージも41試合出場に留まるなど想定外の事態が続いたシクサーズだが、その中で嬉しい誤算となったのがガーション・ヤブセレの活躍だ。
29歳のヤブセレは、2016年のドラフト1巡全体16位でセルティックスに指名を受けるが、まったく結果を残せずわずか2シーズンで退団。2019-20シーズンからはNBAを離れ、中国、ヨーロッパでプレーを続けていた。だが、フランス代表として自国開催のオリンピックに出場し、アメリカ代表との決勝戦で20得点を挙げる活躍を見せるなど評価を高め、昨シーズンにシクサーズで久しぶりのNBA復帰を果たした。
シクサーズとの契約内容が1年約200万ドル(約2億9000万円)だったことが示すように、大きな期待を受けての加入ではなかった。だが、先発43試合を含む70試合出場、平均27.1分、11.0得点、5.6リバウンド、2.1アシストとシーズンを通して主力としてプレーした。
この奮闘ぶりによりヤブセレの評価は大きく高まった。欧州に帰還するのか、引き続きNBAでのプレーを模索するのか去就が注目される中、ヤブセレは『HoopsHype』の取材に対して「100%、本当にNBAに残りたい」と語った。そして「プレーオフで楽しんでプレーしている選手たちを見ると、僕もあの場にいたい。だから今夏できる限りのハードワークをしようと、僕の競技者としての部分が自分をプッシュしてくる」と、さらなる成長への意欲を見せる。
また、今シーズンの活躍によって、ロースター最後の1〜2枠をめぐってオファーを待ち続ける状況から脱却できることへの嬉しさを語る。
「とてもワクワクしている。NBAで初めてフリーエージェントを楽しめることになりそうだ。オファーを聞いて、どんな状況なのか見ることができるだけで楽しみだ。この夏はすべてのチームで大きな動きがあると思う。自分がその一部になれるなんで信じられない」
シクサーズは、ヤブセレとの再契約を望んでいるとも報じられているが、今後のトレードやドラフト戦略によって方針が変わっても驚きはない。ただ、ヤブセレの新天地がどこになるにせよ、新シーズンの彼は1年前とは異なり、最初から主力として大きな期待を受けることだけは間違いない。
ヤブセレ自身はシクサーズ残留も選択肢に入れつつ次のように考えている。「シクサーズが、ロースターの一部を変えようとしているのはわかっている。だから、まずは何が起こるのか待たないといけない。ただ、ドラフトによって、どのチームがトレードをしようとしているのかなどすべての方針が明らかになる」