渡邊雄太

富樫「取れるタイトルはすべて取る気持ちで戦っていく」

千葉ジェッツが『新ユニフォームパートナー契約締結発表・渡邊雄太加入記者会見』を都内で開催した。

第1部では千葉Jの代表取締役社長を務める田村征也、新たにユニフォームパートナーとなった日本電技株式会社の島田良介代表取締役社長が登壇。田村社長はあらためて、このタイミングでのユニフォームパートナー契約締結に感謝の意を示した。「千葉ジェッツは今年で創立15周年を迎え、この15年の間に獲得したタイトルは11タイトルです。クラブの売り上げも初年度の2億円から昨シーズンは30億円を超える売り上げまで成長してきました。そして2024-25シーズンよりホームアリーナを『ららアリーナ東京ベイ』に移し、さらなる成長を目指します。 このクラブの大きな変革期に、日本電技様にユニフォームパートナーとして熱くサポートいただけること、大変心強く思っております」

日本電技株式会社はオフィスビルや工場など、大型施設向けの空調の自動制御システムの販売と施工を行う会社で、来シーズンから千葉Jのホームアリーナとなる『ららアリーナ東京ベイ』の空調システムも手掛けている。渡邊が千葉Jに加入するタイミングでのパートナー契約となったが、渡邊の加入が決定する以前に契約を結んでいたため「非常に驚いたし、非常によろこんだところです」と語った。

また、第1部では新ユニフォームをまとった富樫勇樹も登場し、新シーズンへの意気込みを語った。「渡邊選手を加え、新しいアリーナで迎えるこの新シーズンに向けて、チームとして今最大の準備をしている段階です。結果で恩返しできるように今シーズン戦っていきたいですし、取れるタイトルはすべて取る気持ちで戦っていくので、ご支援、ご声援をよろしくお願いします」

第2部で登場した渡邊は、まず移籍先を千葉Jに決めた理由を語り始めた。「アメリカから日本に帰ることを決めた時に、帰国した記者会見でも少し話させてもらったんですけど、チーム選びは僕に対して一番熱量を持ってくれるチームを優先したいと話したと思います。今回いろんなチームと話させていただいている中で、本当にどのチームも魅力的なオファーをくださいましたが、どこよりも千葉ジェッツが僕に対しての熱量をくださったかなと感じています」

渡邊曰く、オファーをくれたチームは20を超えたという。その中で渡邊の心を動かしたのは、メンタル面のケアの手厚さだった。渡邊は2年契約を結んだサンズで昨シーズンの開幕を迎えたが、出場機会を得られず、2月にトレードで古巣のグリズリーズへ加入した。移籍2試合目でプレータイムを得て、再びバスケの楽しさを感じたのもつかの間、次戦は出場できずにメンタルが崩れていった。その後、休養を申し出て、NBAでの挑戦に終止符を打った。その、触れづらい部分に踏み込んでいったのが千葉Jだったという。

「僕が日本に帰ってきた一番大きな理由として、アメリカでメンタルの問題がありました。NBA終盤は大好きなバスケットができないという苦しい時間を過ごしました。そういう中で、こういうメンタルの問題は自分が当事者になってみて初めてつらさやしんどさを感じることができました。なかなかセンシティブな問題なので、あまり話題にしたくないというのが普通だと思うんですけど、千葉ジェッツに関してはとにかくそこを全力でサポートしたいと。僕がバスケットを十分に楽しめる環境をまず作っていってあげたいと、そこを本当に強調して言ってくださったのが千葉ジェッツだけだったということが、なにより僕の中で1番大きな理由になりました」

この交渉で大きな役割を果たした千葉Jの池内勇太ゼネラルマネージャーは渡邊獲得の流れをこのように振り返った。「毎年のように彼のエージェントと話はさせていただいていました。
NBAの契約を1年残した状態で日本に戻ってくるという中でいろんな話をしていましたが、素晴らしい成績を残しながらも、アメリカではどちらかというと大変な思いだったり苦しい思いがあったんだろうなという風に思っておりました。GMとしてというより、イチバスケットボールに関わるものとして、楽しく日本のバスケット界を盛り上げてほしい、バスケットに集中してほしい。ストレスなくやってもらいたいという思いが強かったです。アメリカから日本に戻ってくる中で、メンタル的な部分もあったり、いろんな葛藤があった中での決断で、やはり彼のメンタル的なところからすべてバスケットに打ち込める環境を整えて、日本バスケットボール界全体を盛り上げていってほしいという思いを込めました」

ファンクラブの会員数は昨シーズンと比べて増加し、先日販売が開始されたオーセンティック・レプリカユニフォームも昨シーズンの倍近い売り上げだという。Bリーグ開幕前からすでに、渡邊効果は表れているようだ。

富樫勇樹