ステフィン・カリー

リーグ首位のセルティックスを相手に、延長を競り勝つ

相手ディフェンスを引き付けてクレイ・トンプソンにアシストを送る『スプラッシュ・ブラザーズ』らしい連携もあった。リバウンドを拾ってコースト・トゥ・コーストを決め、さらにジェイソン・テイタムのファウルも引き出すバスケット・カウントもあった。ジェイレン・ブラウンのドライブを読み、オフェンスファウルを引き出す好守備もあった。そのすべてがチェイス・センターのウォリアーズファンを総立ちにさせるプレーだったが、やはりステフィン・カリーの見せ場は3ポイントシュートだ。

現地12月19日に行われたこの試合、対戦相手のセルティックスは5連勝でリーグ首位を走っている一方で、ウォリアーズは勝率5割に手が届かず、ドレイモンド・グリーンが無期限の出場停止中。カリーは2日前のトレイルブレイザーズ戦で3ポイントシュート成功なしに終わり、268試合続いていた3ポイントシュート連続成功試合の記録が途絶えていた。

両チームの状況を見ると、ウォリアーズにポジティブな予想は立てづらかった。だが実際には、今シーズンここまでのベストパフォーマンスを見せて勝利を収めた。勝利への意欲、劣勢に負けないガッツ、そしてウォリアーズファンすべてが望むカリーの妙技、そしてチームの勝利と、ありとあらゆる要素が詰まった一戦だった。

第3クォーター残り6分で頼みのカリーが個人ファウル5つでベンチに下がる。この時点で13点だったビハインドは、1分後に17点まで広がった。この時点で負けは免れないかと思われたが、チームはカリー抜きの時間帯を耐え、11点差とした第4クォーター頭からカリーがコートに戻る。

「ベンチにいることにイライラしないようにして、試合に集中し続けようとした。辛抱強く待った」とこの時を振り返るカリーは、ファウルトラブルから解き放たれて精力的に動き回る。第4クォーターは3ポイントシュート3本を含む5本のフィールドゴールを決めて13得点、さらには4アシストとオフェンスを牽引し、この12分間を35-24として試合を延長に持ち込んだ。カリー、クレイ、クリス・ポール、トレイス・ジャクソン・デイビス、ジョナサン・クミンガのラインナップで戦ったオーバータイム、127-126とリードした残り20秒からの攻めで、カリーはキャリアに残るであろうクラッチプレーを決める。

デイビスのスクリーンを使ってリムへとスピードを上げたカリーは、スピンムーブからレイアップを放つ。これは決まらなかったが、クリス・ポールがリバウンドを拾い、再びポジションを取り直したカリーを見逃さずにパスを送る。カリーから決して目を離さなかったデリック・ホワイトが猛烈な勢いでシュートチェックに来るが、カリーはその伸ばした腕が届かないように高いアーチを描くシュートを放った。滞空時間の長いシュートがネットに吸い込まれて勝利を引き寄せると、カリーは『ナイト・ナイト』のセレブレーションでファンと喜びを分かち合った。

「一瞬の判断だからタフなシチュエーションだったよ」とカリーはラストショットを振り返る。「クリス・ポールがリバウンドを拾った時、僕は誰よりも早く彼を見てボールを要求した。狙い通りのタイミングでパスが来て、あとは自分のリズムで打つだけだった」

カリーに全幅の信頼を置く指揮官スティーブ・カーは「驚きはしなかったよ」と言う。「あのキャッチ&シュートにも、あの角度にもね。入ることは十分予想できた。ファンもみんなそう思っていただろう?」

ウォリアーズはいまだ崖っぷちではあるが、3連勝と粘りを見せている。チーム状況を好転させるには、一つひとつ勝っていくしかないことをカリーは語る。「今いるメンバーでどう勝てるのかを探っていく。それが今の僕たちに必要なことだし、一つずつこなすのを3試合続けてきた。そうやって自分に自信と勢いを与えたい。プレーオフを勝ち抜けるチームになるためには何が必要か、それは今の僕たちには関係ない。48分間だけに集中して勝つんだ。その状況は嫌いじゃないよ。試合を楽しんでいるし、今日もそうだった」