青木保憲

2021-22シーズンに川崎ブレイブサンダースから広島ドラゴンフライズに移籍し、粘り強いディフェンスでチームに貢献した青木保憲は、2022-23シーズン途中に双方合意のもと契約を解除し、仙台89ERSに移籍した。異例となるシーズン途中の移籍が彼にもたらしたものは何だったのだろうか。仙台の地で本格的に始まるシーズンを見据える青木の瞳は、すでに闘志に満ちあふれていた――。

 「新しい一面や課題を発見できて、すごく成長に繋がるシーズンになった」

——広島から仙台に途中加入した昨シーズンを振り返ってみてどうでしたか。

プロのキャリアの中で一番濃密なシーズンだったというのは間違いないです。力不足で試合に出られずにいた中で仙台が声をかけてくださって、必要とされる場所でもっとプレーをしたいと思って移籍しました。率直に言うと、すごく楽しくて、キツくて、これ以上ない経験をさせていただきました。仙台では得点を取ることを求められて、うまくいかないことが多かったんですけど、今までの自分になかった新しい一面や課題を発見できて、すごく成長に繋がるシーズンになったんじゃないかなと思っています。良い決断をしたと自分で自分を褒めてあげたいですし、たくさんの方にいろんな協力をしてもらって今の自分がいるということをあらためて再確認できたシーズンでした。

——広島と仙台とでは求められていたプレーが大きく違いましたか。

そうですね。広島ではピック&ロールを一度流して外国籍がアドバンテージを作りつつ、 何回もサイドチェンジをしながらチャンスを作るというスタイルで、僕はパスを求められることが多かったです。でも仙台では、まずガードがアタックをすることを求められました。習慣づいた部分を剥がす作業は難しかったですが、楽しかったですね。

——仙台では結果的にプレータイムもスタッツも伸びました。藤田弘輝ヘッドコーチが青木選手にすごく期待されていたことが印象的です。

自分が思ってる以上に期待してくれていることはすごく感じています。今までは役割的にも2、3番手でプレーする立ち位置だったので、仙台に来た当初は自分が勝ちに直結するプレーヤーだということを理解できていなかった部分は正直ありました。その中で藤田ヘッドコーチに「お前がいくらミスしても、勝つために全力でやるなら使い続けるから」って言ってもらえたことで、チームを背負う責任感が出てきたかなと。まだまだクォーターごと、試合ごとのパフォーマンスで浮き沈みがある部分は課題だと感じています。今シーズンは30試合だったけど、来シーズンは60試合を通して出続けるためにも、心と身体をいかにコントロールするかという点は新しいチャレンジになると思います。

青木保憲

「リーダーシップを発揮する点に関しては、今まで以上に強い思いを持っている」

——仙台での生活はいかがですか?

まだシーズン的に1回しか食べていないですが、せり鍋がおいしかったです。 あとは……寒いです(笑)。東北の中でも仙台はまだマシな方って言いますが、雪国に住んだのは初めてで、なおかつ行った瞬間に大寒波が来たので(笑)。

——特に仲が良い選手は誰でしょう?

最初にいろいろと教えてくださったのは高校の先輩の寒竹さん(隼人=現・ライジングゼファー福岡)です。寒竹さんがいたから仙台に安心して行けました。外から見ていても本当にチームのために身を粉にする人だと思っていたし、いざチームメートになってからもすごかったですね。福岡に移籍してしまってすごく悲しいです。

——自分が指標とする選手はいますか?

元々、高校の先輩の竜馬さん(橋本竜馬=アルバルク東京)のリーダーシップは、大学生時代から憧れているというか、こういう選手に自分もなりたいなと思っていました。ルーズボールに飛び込む姿勢とか、チームを鼓舞する姿勢というところは、自分としても今までやってきたことで通じる部分もあったので、竜馬さんと篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)さんは目標としています。

——来シーズンに向けて、ファンの方へメッセージをお願いします。

去年B1に戻ってきた時と大きく変わらないメンバーでもう1度戦えるチャンスがあるのはとてもうれしいことです。それと同時にどれだけチーム力を上げられるかが問われると思っているので、今まで以上にリーダーシップを発揮するという点に関しては強い思いを持っています。僕としてもクラブとしても、本当に成長できるシーズンにしたいと思っています。チームのコンセプトでもある「Grind!(骨を折って何かに打ち込む、一生懸命何かをやるという意)」は僕の強みでもあるので、その姿勢をブースターの皆さんにお届けできるように毎試合勝ちに行きます。応援よろしくお願いします!