ジョエル・エンビード

「一人で勝つことはできない。僕とジェームズだけで勝つこともできない」

セブンティシクサーズはセルティックスとの『GAME7』を落とし、カンファレンスセミファイナル敗退となった。得点王でMVPのジョエル・エンビード、アシスト王のジェームズ・ハーデンを擁し、タイリース・マクシーはプレーオフで2人に肩を並べる勝負強さを見せるまでに成長した。主役を支えるサポートキャストも揃い、40年間遠ざかっているNBA優勝を狙えるチャンスを迎えていたはずだが、その夢ははかなく散った。

指揮官ドック・リバースは言う。「我々には優勝するだけの力があると考えていた。だからこの結果には失望している。今シーズンは多くのことを成し遂げてきたが、この敗退でその印象は薄まってしまうだろう」

エンビードも失意に打ちひしがれていた。ドックの言葉を伝えられると「そういう部分はあるだろうね。でも、この負けが僕たちのすべてを表すわけではないと思う。失敗じゃなく成功だと言いたい。でも負けたのは悲しい」と答えた。

今シーズンのエンビードはMVPを受賞し、キャリアハイの33.1得点で得点王になり、6年連続のオールスターとなり、個人で得られる栄誉はほぼ勝ち取ったと言ってもいい。しかし、彼が本当に欲しいNBA優勝は遠かった。

「こういう負け方をして敗退が決まるのはキツい。今はあまり過剰反応すべきじゃないんだろうね。何日かして落ち着いたら、今シーズンに何が足りなかったのか、来シーズンに向けて何を改善すべきかを考え始めるよ。そこからまたスタートする」

セルティックスのジェイソン・テイタムは『GAME7』で51得点と突出したパフォーマンスを見せた。エンビードもハーデンもこれに対抗できず、最後の試合は88-112と大差を付けられた。本来であれば勝負を懸けた激突になる試合終盤、エンビードもハーデンもベンチに座って終わりの時を待っていた。

しばらくして気分が落ち着いたら、エンビードは来シーズンへと意識を切り替えて前向きになるだろう。ただ、ハーデンもそうとは限らない。彼は契約最終年を破棄すればフリーエージェントになれる。彼は優勝を成し遂げるためにロケッツからネッツ、シクサーズと移籍してきた。シクサーズにそのチャンスがないと考えれば、彼は新たなチームを探すことになる。

「僕たちはまだ何も勝ち取っていない。チャンスをモノにはできなかったけど、優勝するだけの力はあると思っている」とエンビードは言う。「ハーデンにはプレーヤーオプションがあり、これからどうなるかは分からない。それは彼の決めることだから僕は静観するけど、僕はまだ勝てるチャンスがあると思っている」

「自分たちを見直さなきゃいけない。僕はもっと向上しなきゃいけないし、みんなで努力して成長し続けなければならない。一人で勝つことはできない。僕とジェームズだけで勝つこともできない。バスケは5人と5人で戦う競技だからね。だからこそ、僕らはチーム全員で向上する方法を探していくんだ」