3ポイントシュート5本成功を含む24得点で優勝に貢献
昨年のウインターカップで決勝の舞台を経験し、エースのハロルド・アズカは3年生になってチームに残っている。鳥取城北(鳥取県)がインターハイ優勝を果たしたのは、順調なステップアップの成果に見えるかもしれない。しかし河上貴博コーチは「いや、もう全然です」と苦笑した。
「ウインターカップは想像以上の成績でしたし、今回のインターハイでも本人たちがベスト4を目標にしました。対戦相手を見ても厳しいと思うところがたくさんあったのですが、試合を通して選手たちが成長して、私の想像以上の結果になりました」
昨年のウインターカップはアズカこそ2年生だったが、主力の多くが3年生だった。今のメンバーは経験豊富とは言えず、頼みのアズカもケガを抱えており、先発は1年生のフィリモン・タルモンが務めた。初戦からすっきり勝つことができず、柳ヶ浦(大分県)戦は5点差、仙台大学附属明成(宮城県)戦は3点差の辛勝。ただし、苦しい試合を切り抜けるたびに選手たちはタフになっていった。
アズカというスター選手を擁しながらも、アズカ一辺倒のバスケをしないスタイルも功を奏した。「アズカを中心に、というのはもちろんありますが、アズカを生かすためにも周りがしっかりバスケをしていかなきゃいけない。アズカにケガがあったので、それが逆にタルモンの成長に繋がり、終盤のアズカの集中力に繋がりました。福元源士、新美鯉星、豊村豪仁も能力はあります。アズカ以外にも2桁得点が3人ぐらい出てくればウチのリズムになります」
河上コーチの言葉通り、八王子学園八王子との決勝ではアズカが24得点、新見が16得点、永田が12得点を記録。タルモンが9分間を繋ぐことでアズカのプレータイムは31分で、ケガを押しての出場にはなったが精神的に余裕を残し、それが勝負どころでの3ポイントシュートに繋がった。
「全員で頑張って勝つことができた。それが一番です」
ケガを抱えながらのプレーでも、相手の留学生ニャン・セハ・セダト相手のディフェンスとリバウンドでは手を抜けない。そのためアズカはリムアタックを制限しながらも、3ポイントシュートで8本中5本を決める勝負強さを発揮した。「ずっと一生懸命練習してきて、前の試合ではあまり入っていなかったけど、先生が『自信を持って打ていいよ。入るから』と言ってくれたから」だとアズカは語る。「でもシュートはもちろんですけど、ディフェンスとリバウンドも頑張りました。0番のセハは滅茶苦茶強い。フィジカル強かった。そこのディフェンスは大事でした」
我慢するべきところは我慢しながら、やるべきところでフルパワーを出したアズカは言う。「ウインターカップで準優勝して、次の目標はベスト4と言っていたけど、アズカの頭の中ではずっと金メダルが欲しかったです。決勝の雰囲気はもう分かっているから、そこで頑張って優勝したかったです」
「アズカは足がすごく痛くて100%じゃなくて、ディフェンスとブロックは頑張りましたけどドライブとか全部はできなくて、ベストのパフォーマンスじゃなかったです。インターハイが終わってまず身体をケアして、明日が治ったらハンドリングとかディフェンスとか、もっとやりたいです」
「全員で頑張って勝つことができた。それが一番です」とアズカは大きな笑顔を見せた。「日本一は簡単じゃなくて、僕が日本に来たばかりの時から夢だったので、滅茶苦茶うれしいです。次の目標はインターカップで優勝、そのあとはプロになります!」