
ベンチから21分出場、得失点差+21と存在感を発揮
NBAカップのセミファイナル、西カンファレンスでは24勝1敗と圧倒的な強さを見せているサンダーと、この試合からビクター・ウェンバニャマが復帰したスパーズの一戦となりました。復帰初戦でプレータイム制限もあるウェンバニャマがベンチスタートになる中、第1クォーターはサンダーが11点リードといつもと変わらない強さを発揮しましたが、第2クォーターにウェンバニャマが登場すると、試合の空気は一変します。
ウェンバニャマがまず違いを作ったのはオフェンスリバウンドでした。サンダーの強さは相手のハンドラーに対する強烈なディフェンスにあり、スパーズは若いステフォン・キャッスルとディラン・ハーパーがこの圧力に押されて、苦しいシュートを打たされていたのですが、これをウェンバニャマが助けます。ボックスアウトされても長い腕を生かしてボールに絡み、ティップで直接リングにねじ込むこともあれば、弾き出してのパスアウトでハーパーの3ポイントシュートに繋ぐなどセカンドチャンスで得点を繋ぎます。
これに対してサンダーのオフェンスはウェンバニャマのリムプロテクトを避けるようにパスアウトを繰り返すも、3ポイントシュートが決まりません。それでもウェンバニャマのブロックが待ち構えるゴール下へ侵入するわけにはいかず、オフェンスが機能不全に陥ります。前半のウェンバニャマは7分しかプレーしなかったものの、オンコート時の得失点差は+20と圧倒的な存在感を見せました。
そして迎えた後半は、ウェンバニャマがベンチにいてもスパーズのプレーは劇的に改善します。特にディフェンス面ではシェイ・ギルシャス・アレクサンダーやジェイレン・ウィリアムスのドライブに対して、マンマークで止めきる回数が増えていきます。オフェンス面でもサンダーのプレッシャーに慣れてターンオーバーが減り、強気にアタックして互角の展開へ持ち込みます。
そしてウェンバニャマがコートに戻ると、その理不尽なまでの高さを生かしたアリウープで強引に得点に結び付け、チームメートのパスが奪われかけても長い手足でカバー。何よりサンダーのオフェンスはペイントアタックを怖がってのジャンプシュートばかりになり、成功率が落ちていきました。
お互いにフィールドゴール成功率が41%と重い展開が続いた試合でしたが、オフバランスのタフショットも粘り強く決めたウェンバニャマは、21分のプレーで22得点9リバウンド2ブロックの活躍。最後はファウルゲームの応酬となったものの、スパーズが111-109で接戦を制しました。
ウェンバニャマの存在だけで、サンダーの計算が全て狂ってしまったかのような展開。後半のスパーズは「ウェンバニャマがいるから最後は自分たちが上回るはず」という自信に溢れ、それが前半とは打って変わっての良いパフォーマンスとなりました。スーパースターが敵味方すべてを自分のペースに巻き込んだ、圧巻の存在感を放ちました。