カマン・マラワチ

驚異の高さを生かすシンプルで効率の良いプレーが武器

現地6月25日と26日に、ブルックリンのバークレイズ・センターで2025年のNBAドラフトが行われます。ロッタリーで指名順位が決まり、トレードの噂も盛んに流れていますが、今年のドラフトは豊作といわれ、各ポジションに高いポテンシャルを秘めた選手から完成度の高い選手まで異なるタイプが揃っているため、チームそれぞれの事情によって指名する選手が大きく変わってきそうです。

日本も開催地の一つだった2023年のワールドカップで躍進を遂げた南スーダン代表には、本格的にバスケットを始めて2年しか経っていない16歳のセンターがいました。ワールドカップとパリオリンピックに最年少で出場し、今シーズンはデューク大でのプレーを経て成長を遂げたカマン・マラワチは、NBAのドラフト候補に名を連ねています。

218cmの身長に加え、229cmのウイングスパンを誇るマラワチは、ビクター・ウェンバニャマやルディ・ゴベアをも上回る290cmのスタンディングリーチという圧倒的な高さを持つビッグマンです。単に高いだけでなくしなやかな動きも持ち合わせており、ズレたパスても自分の手に納めるキャッチ能力と、柔らかなタッチでリングに押し込むシュート能力でインサイドを支配していきます。

スクリーンからリングへダイブするピック&ロールのフィニッシュは『分かっていても止められない』プレーになっており、フィールドゴール成功率は驚異の71%を記録しただけでなく、フリースローの成功率も77%と高く、シンプルながら効率の良いプレーが持ち味です。

高さに依存するタイプではありませんが、バスケット経験が短いこともあってか、余計なプレーをすることなく、自分の役割を忠実にこなしていくのも魅力です。特にシュート力の高いエースガードを中心としたチームであれば、オフボールでのプレーに徹してくれる相棒として使いやすい選手です。

機動力もあり、ペリメーターディフェンスもこなせれば、ヘルプディフェンスでも脅威になれるムルアチは献身的な選手です。ただ、目の前のマッチアップでしっかりと守るからこそ、その次のリバウンドへの対応が遅くなったり、プレーを先読みしてスペースを埋めるような対応には課題があります。スモールラインナップへの対応など未知数な面もあり、現時点では特定の戦術で高い効果を発揮するタイプです。

突出した武器を持ったタイプであり、指名する側からすると、このタイプを欲しいかどうかがすべてなだけに、展開力のあるポイントガードを擁しディフェンス力を向上させたいチームが指名してきそうです。限りない成長の可能性を秘めているマラワチは、即戦力としても期待されての指名になるでしょう。