時代とともにエースが代わる中でチームを支え続ける
キャバリアーズとペイサーズの第4戦は、前半だけで80得点を奪ったペイサーズが最大44点差をつけて129-109の圧勝となりました。スピーディーな仕掛けをしていくタイリース・ハリバートン、ハードなディフェンスのアーロン・ネスミス、巧みな変化をつけてチャンスを構築するアンドリュー・ネムハード、フィールドゴール10本中9本を決めてチームハイの21点を挙げたパスカル・シアカム。相手にパンチを食らわせて退場したベネディクト・マサリンを除けば全員が活躍した試合でした。
その中でもマイルズ・ターナーの存在感は際立っていました。リムプロテクターとしてはもちろん、オフェンスでもポストアップからの押し込み、ツーメンゲームからペイントでパスを受けてからの展開、そして3ポイントシュートと、持ち味であるオールラウンドなプレーでキャブスディフェンスを翻弄しました。
ターナーはオフェンスで何でもできる反面、強力な武器があるわけではなく、何か一つが機能しないとすべてが中途半端になる弱点を持ち、またハイレベルなプレーが相手を叩きのめすまで継続できない面もありました。2015年のNBAドラフト1巡目11位で指名されてからペイサーズ一筋の最古参であり、チームの核ではあるものの、エースの座はトレードでやって来た若手に譲る人間性は、そのプレーにも表れています。
ただ、今のペイサーズはチーム全体のバランスこそ重要で、誰もが積極的であり、誰もがチームファーストのプレーをします。その中でターナーは自ら仕掛ける機会は少なくても、相手ディフェンスとの関係性の中で足りない要素を埋め、何よりターナー自身も以前よりも積極的に得点に絡むようになっています。
キャブスにはジャレット・アレンとエバン・モーブリーの強力なリムプロテクターがいるため、この2人をリングから遠ざけることが攻略のカギになります。ターナーは空けられたら3ポイントシュートを決めるだけでなく、献身的にスクリーンをかけることでスイッチさせてビッグマンをアウトサイドに誘導し、自分がサイズのミスマッチになればポストアップから得点を奪っていく判断力の良さが、チーム全体を楽にプレーさせています。
この第4戦はターナーが機能することでチーム全体が楽に得点できた典型的な試合となりました。ディフェンスではブロックショットなしに終わったものの、ゴール下へのパスを許さないポジショニングでアレンをフィールドゴールアテンプト1本に抑えるなど、数字には表れない貢献が光りました。
これでペイサーズは2シーズン連続のカンファレンスファイナル進出へ王手をかけました。ポール・ジョージ、ビクター・オラディポ、ドマンタス・サボニス、そしてハリバートンと時代とともにエースは代わりながらも、チームを支えてきたターナーが機能することでペイサーズは強さを発揮しています。