「僕らは誰かのワンマンショーで勝つチームじゃない」
ケニー・アトキンソンは「チーム全体がスタミナ切れに陥ってしまった」と語った。ペイサーズとのカンファレンスセミファイナル第2戦、初戦を落としたキャバリアーズは序盤からエンジン全開で、第2クォーター開始直後に20点のリードを奪い、終盤まで優位を保ち続けた。
ダリアス・ガーランドに続いてエバン・モーブリーとデアンドレ・ハンターが欠場となったキャブズを引っ張ったのはドノバン・ミッチェルだ。序盤からまるでクラッチタイムのように一人でガンガン仕掛けて得点を伸ばした彼は、第3クォーターまでで36得点7アシストを記録した。
第4クォーターも12得点2アシストとスタッツは悪くない。しかし、序盤からエネルギー全開でハイライトプレーを連発すれば、どうしても反動が出る。ミッチェルのエネルギーは最後まで落ちなかったが、プレーの精度は落ちてしまい、それでキャブズは崩れてしまった。
第4クォーター残り1分を切ったところで119-112。キャブズは落ち着いて試合をコントロールすれば良かったのだが、あきらめずに食らい付くペイサーズの強引なプレーをいなすことができない。最後の1分間でミッチェルのオフェンスファウル、マックス・ストゥルースがリスタートのボールをアンドリュー・ネムハードに奪われるターンオーバーと、痛恨のミスが続いた。
ペイサーズもラスト1分でフリースロー4本中3本を落としており、リズムに乗れていたとは言い難い。それでも彼らは華麗な攻撃バスケが機能しようがしまいが、愚直にボールを追い、リムを目指した。残り12秒、2点差の場面で、タイリース・ハリバートンは2本目のフリースローを落とす。マイルズ・ターナーがティップしたボールをもぎ取ったハリバートンは、ゴール下の密集地帯から下がって抜け出し、マークにつくジェロームをステップバックで引き剥がして3ポイントシュートを放ち、これを決めた。最終スコア120-119でペイサーズが敵地で2勝を挙げている。
「チャンスが生まれるのはあきらめずに戦い続けるから」
ハリバートンは前半に手首を痛め、プレーを続けられるかが危ぶまれたが、試合を通じて36分プレーして19得点9リバウンド4アシストと活躍した。試合を支配していたのは48得点9アシスト4スティールのミッチェルだが、勝ったのはハリバートンだ。
「自分のプレーに満足しているよ」とハリバートンは笑顔で語る。「チームメートやコーチングスタッフが僕に自信を与えてくれる。だから僕はただプレーに集中し、『決める』という自信を持って打つだけだ」
劇的な逆転勝利を「NBAではクレイジーなことが起きるんだ」と語るハリバートンはこう続ける。「特に僕らのシーズン終盤はこんな試合の連続だ。今振り返っても『なぜ勝てたんだ?』という試合が何度もあった。でも、そういうチャンスが生まれるのは僕らがあきらめずに戦い続けるからだ。このチームは厳しい戦いに慣れていて、本当にしぶとい。2シーズンほぼ同じメンバーで戦っている継続性が、この強みを生み出していると思う」
劇的なゲームウィナーを決めたことでハリバートンがチームを代表して会見に出ていたが、「これは完全なるチームワークの勝利だよ」と彼は強調した。「あの最後のシュートは確かに重要だったけど、それまでに全員で多くの良いプレーを積み上げてきた。僕らは誰かのワンマンショーで勝つチームじゃない。今日、2桁得点している選手が何人いるか見てほしい。チームで戦い、粘り強く戦う。それが僕たちの成功の方程式だし、それをやりきったことを誇りに思う」