U18日本代表経験者を多く擁し、今年もタレント揃いの福岡大学附属大濠。過去2年間は全国優勝から遠ざかっているものの、U18日清食品トップリーグでは強豪7チームを相手に6勝を挙げて優勝を果たした。それでも地元のインターハイで敗れた悔しさは忘れられない。高校バスケ最後の大会に挑む、キャプテンの湧川裕斗と大黒柱としてチームを牽引する髙田将吾に意気込みを聞いた。
「裕斗は質の高いプレーを何でもできる」
──湧川選手は、お兄さんの湧川颯斗選手も福岡大学附属大濠の出身です。
湧川 高校に進学するまでは、地元の広島で「颯斗の弟」と言われることが多く「自分の名前で呼ばれるように頑張ろう」という気持ちがあったので、兄と同じところで「兄を超えたい」と思って大濠に進学しました。
──3年間ともに過ごした髙田選手から見て、湧川選手の変化をどう感じますか。
髙田 最初はシューターのイメージが強かったんですが、1年生の時からポイントガードも任されるようになって、ゲームメークや状況判断は当時と比べてすごく磨かれたと思います。3年生になってさらに、3ポイントシュートだけでなくドライブのフィニッシュのスキルだったりを何でもこなせる、そういう質の高いプレーができるのは本当にすごいです。
──湧川選手はにやけてますね(笑)。
湧川 うれしいです。
──他にチームメートだからこそ知っている一面はありますか。
髙田 たまに……半年に1回くらいですが、練習中に片峯聡太コーチにめっちゃ怒られることがあるんです。その時に反抗的になってボールを投げたり、ちょっと熱くなりすぎるっていう、表には出てない部分もあったりします。
湧川 ありましたね。感情的になってボールぶつけたことはしっかり怒られたんですけど、そのあとにコーチにいろんなアドバイスをいただいて成長に繋げられたと思っています。
──髙田選手は、入学してからの自分自身の成長をどうとらえていますか。
髙田 中学生の時は周りよりも身長が高かったので、何となくやっていても点が取れていました。大濠に来てからは、僕より身長も高く能力もあって何でもできる先輩ばかりで、何もできていないと感じながらも、3ポイントシュートの確率やドライブの強さだったり、一つひとつのプレーの質を磨いてこられたと思っています。
──U18日本代表に選ばれたりといろいろな経験をしている中で、髙田選手がこれだけは負けたくないプレーはありますか。
髙田 U18日本代表として海外に行って、一番の違いを感じたのはドライブの強さです。少しでもズレがあったら、フィジカルやスピードの部分をつかれて一発でやられました。そういう経験を日本に戻って試してみたら通用するところもあったので、自分の強みになっていると思います。
──湧川選手が高田選手に期待するところはどこですか。
湧川 やっぱり得点力ですね。将吾は相手から厳しいマークを受けても、1人で打開して得点を取ってくれるので、そこは期待しています。
「プレッシャーよりもワクワクが勝っています」
──高校バスケ最後の大会を迎えようとしています。3年生同士で話し合ったり、チームとして結束力の高まりを感じますか。
髙田 3年生で話をする時は裕斗と(見竹)怜が中心になってくれます。前は自分の意見をただ言うだけで、周りと一つになっていない感じがありましたが、今は誰かがしゃべったらその意見を尊重して「じゃあ次はこれをやっていこう」っていう話がでできているので、チームとして成長していると思います。
──湧川選手は、キャプテンとしてどんなことを意識するようにしていますか。
湧川 高校で初めてキャプテンという立場を経験しているので、正直に言うと自信はありません。それでも周りのメンバーがいろいろとサポートしてくれるので、それは自分自身の成長にも繋がっています。
──一昨年はベスト8、去年は準優勝の過去2年を振り返りつつ、今大会への意気込みを聞かせてください。
髙田 「今年こそ日本一になると」と挑んだインターハイも3位に終わって、あと日本一になるにはウインターカップしかありません。特に3年生は去年悔しい思いをしたメンバーばかりなので、3年生、主力だけでなくチーム全員で団結して「必ず日本一になる」という気持ちでやっていきたいです。
湧川 1年生の時は僕がチームとしてやるべきディフェンスを遂行できず、2年生の時は福岡第一の強いマンツーマンに守られて責任感のないプレーをしてしまい、「僕のせいで勝てなかった」という思いがあります。これまでは先輩に引っ張ってもらっていたので、今年は後輩たちをしっかり引っ張って、責任感のあるプレーで優勝できるように頑張りたいです。キャプテンとしてはプレッシャーよりもワクワクが勝っています。良いプレーをするためにも、あまりプレッシャーを感じずに思い切ってプレーしたいです。
「インターハイの借りを、必ずウインターカップで返す」
──ウインターカップに向けて、見てほしいところを教えてください
湧川 3ポイントシュートと、今年はゲームメークも任されているので、その2つを見てほしいです。
髙田 僕の武器はジャンパーですが、今年に入ってから3ポイントシュートの確率にこだわってきました。ドライブができることも強みなので、どんな形でも得点できるところを見てほしいです。
──負けたくない相手、チームはありますか。
髙田 個人としては開志国際の千保銀河選手には負けたくないです。出身も同じ富山県で、トップリーグではかなり得点を取られてしまったので。チームでは美濃加茂にリベンジを果たしたいです。インターハイで負けて、チームの目標だった『日本一』を閉ざされた相手なので、ウインターカップで戦う機会があれば必ず勝ちたいです。
湧川 片峯コーチです(笑)。『圧』というか、試合中も結構鋭い視線があるので、その視線に負けずに。3年間たくさん怒られてきた分、最後の最後に片峯コーチから教わってきたことを発揮して、日本一という結果で恩返ししたいです。負けたくないチームは将吾と一緒で美濃加茂です。インターハイの準決勝で負けて本当に悔しい思いをしたので、ウインターカップで当たる機会があれば必ずリベンジします。
──最後に、全国のファンの皆様にチームとしてのメッセージをお願いします。
髙田 インターハイはたくさんの方が見に来てくれましたが、福岡の地で、あの応援の中で優勝できなかったのは本当に悔しかったです。その借りを必ずウインターカップで返すのでウインターカップも応援をよろしくお願いします。
湧川 インターハイが3位で終わって、チームとして非常に悔しい思いでいっぱいです。去年もウインターカップは準優勝で、まだ『日本一』を取れていません。今年のチームのスローガンでもある『Give…Grid、Influence、Victory、Euphoria』の勝利をまだつかめていないので、最後に勝利をつかんでスローガンを達成し気持ちよく終わりたいです。地元だけでなく、全国でたくさん応援してくださる方々には、ウインターカップで『日本一』という結果を果たせるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。