マック・マクラング

「どんなチャンスも逃さず、自分の力を証明する」

マック・マクラングがNBAオールスターに戻って来た。昨年のダンクコンテストに出場した彼は、高校時代からダンクの動画がバズり、『白人では最上最高のダンカー』の異名を取る存在だった。Gリーグのデラウェア・ブルーコーツでプレーし、ダンクコンテスト直前にセブンティシクサーズと2ウェイ契約を結んでいた彼は、予選と決勝で計4回のダンクのうち、3つは50点満点を取り、残る1つも49.8点を取り、NBAプレーヤーのライバルを圧倒して優勝をさらった。

その圧巻のパフォーマンスは、レブロン・ジェームズをして「ダンクコンテストの歴史に残る。実は僕も、高校時代から彼のダンクの映像は見ていたよ」と語らせるほど。しかし、ダンクコンテスト優勝はNBAでの成功を約束するものではない。それまでNBAでの出場はレイカーズで1試合、ブルズで2試合のみ。ダンクコンテストで名を馳せた後もシクサーズでは2試合に出場しただけで、今シーズンはマジック傘下のGリーグチームと契約を結ぶもNBAでは出場なし。今のままではマクラングは『一発屋』、あるいは『ダンク屋』でしかない。

「多くの人が、僕はNBAでプレーするに値すると言ってくれるけど、実際そうならない。僕も疑問なんだ。昨シーズンのプレーはNBAに値すると自分では思っていたからね。でも、その期待は捨てた。これまでの自分を超えて、もっと良い選手になるしかない。どんなチャンスも逃さず、自分の力を証明すると決めた」

そして今年、マクラングは再びダンクコンテストに招待されるとともに、ライジングスターに出るチャンスも与えられた。「25歳でライジングスターはおかしいだろ、って意見があるのは知っているよ」と彼は苦笑を漏らし、こう続ける。「でも、僕は挑戦する」

ダンクコンテストで彼の知名度は飛躍的に上がった。プーマを始めいくつかのスポンサーが付いたし、中国のチームからは100万ドル(約15億円)を超える年俸でのオファーが届いたという。だが、『ダンクはできてもバスケはできない』というレッテルを剥がすことはできなかった。188cm83kgという小柄な体格からくるネガティブなイメージは、彼がどれだけコート上で結果を出しても払拭できない。今シーズン、彼がGリーグで残しているスタッツは平均23.7得点、4.9リバウンド、7.2アシストで3ポイントシュート成功率は39.3%だ。

ライジングスターでのマクラングは、『ダンク屋』ではなくバスケットボール選手として素晴らしいプレーを見せた。セミファイナルでは12得点5リバウンド3アシストを記録し、ビクター・ウェンバニャマを擁するチーム・パウを撃破している。

「Gリーグの選手たちにも才能はあり、チャンスを待っている。Gリーグの試合で結果を出したからこそ、僕らはここに来ることができた。ここに来ることは名誉だし、ここで活躍することには意味があるんだ」とマクラングは言う。「プレーオフの試合じゃないにしても、どの選手も競い合う。そこで僕らだって負けてはいられない。満員のアリーナでプレーして、それぞれ自分の爪痕を残すことができた。素晴らしい舞台を用意してもらってありがたい。とても楽しかったよ」

マクラングにとってはライジングスターもダンクコンテストも、自分の力を証明する機会だ。ダンクコンテストではマイケル・ジョーダン、ジェイソン・リチャードソン、ネイト・ロビンソン、ザック・ラビーンに続く5人目の連覇を狙う。