敵将も脱帽「彼はやりたい放題やっていたという感じ」
宇都宮ブレックスは10月24日、サンロッカーズ渋谷とのアウェーゲームに96-74で快勝した。前日63得点と沈黙したオフェンスを見事に立て直し、リベンジを果たした。
宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは「基本的にエナジーレベルで渋谷さんに負けないところから入ろうという話しをしました。それを今日は出せたことで、試合の流れを作ったと思います」と試合を振り返った。
このエナジー全開のプレーを出だしから見せ、チームに勢いを与えたのが比江島慎だ。試合最初のポゼッションで6試合連続のスティールを奪うと、そのまま一気にゴール下までボールを持ち込みファウルを受けながらレイアップを決めてバスケット・カウント。さらに続けて3ポイントシュートを沈め、8-0のランを主導する働きを見せた。
さらに1点リードで迎えた第3クォーターには、フィールドゴール5本中4本成功の11得点と大暴れ。SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチが「特に比江島君のところでボールが止まらなかったです。彼はやりたい放題やっていたという感じでした」と脱帽する『比江島タイム』を作り出し、このクォーターで30-21と大きく突き放す立役者となった。
最終的にこの試合、比江島は22分の出場でフィールドゴール10本中7本成功、20得点3アシスト2リバウンド1スティール1ブロックにターンオーバーは1つと、攻守に渡って大いに活躍し、試合後には次のように総括している。
「自分たちから仕掛けて相手からエナジーで上回ることができたと思います。リバウンドをしっかり取れて速い展開に持っていけましたし、昨日の反省点をしっかり修正して、最初から自分たちらしいバスケができたと思います」
トム・ホーバスは「優しい方だなという印象です(笑)」
フィールドゴール8本中1本成功の7得点、3ターンオーバーに終わった前日から一転しての自身の活躍には、エースとしての強い自覚があった。「昨日、自分のパフォーマンスがすごく良くなくて、それがチームに直結した部分もありました。今日はより強気なプレーを心がけてアタックし、得点でもアシストでもチームを引っ張ることができました。ターンオーバーも少なかったですし、これをスタンダードにやっていきたいと思います」
まだ開幕8試合を終了しただけとはいえ、ここまでの比江島は平均12.3得点、3ポイントシュート成功率45.2%に1.8スティールと、宇都宮加入後では個人としてベストのパフォーマンスを見せている。
だからこそ、時期尚早ではあるがトム・ホーバス新体制の初陣で11月末に開催されるワールドカップ予選、中国との2連戦で日本代表入りしてのプレーを期待する声も高まってくる。
前日の試合後、ホーバスと話した時の印象をこう語る。「ほぼ初めてしゃべりました。今までコートの中の姿しか見たことがなかったので、それに比べたら優しい方だなという印象です(笑)。非常に良いコミュニケーションが取れて楽しみな部分の方が大きいと思っています」
もちろん今の比江島は、目の前の宇都宮での試合に集中している。ここでチームを勝利に導くプレーを続け、自身の調子もさらに高める良い流れでの代表入りを果たし、中国相手に大暴れする姿を楽しみにしたい。そう感じずにはいられない今回の『比江島タイム』だった。
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