
「我慢の時間帯をしっかり我慢してくれました」
インターハイ4日目、仙台大学附属明成(宮城県)は前年王者の東山(京都府)との接戦を75-71で制し、ベスト4進出を果たした。
東山は2回戦でもつくば秀英(茨城県)を相手に76-75と接戦を演じており、ここではエース佐藤凪のクラッチ力で競り勝っている。その東山の爆発力に対し、明成は畠山俊樹コーチ曰く「誤魔化し誤魔化しのゾーン」で対抗した。
188cmの大型ガード、三浦悠太郞がファウルトラブルで20分しか出場できなかったが、「三浦がいないとチームとして崩れるわけではない。出てくる出てくる3年生がしっかり仕事をしてくれた。我慢の時間帯がすごく長かったのですが、しっかり我慢してくれました」と畠山コーチが語るチーム一丸のバスケで抑え込んだ。
エースの小田嶌秋斗はスピードを生かしたドライブに3ポイントシュート4本成功を含む30得点と爆発。得点だけでなく2ガードを組む三浦不在によるプレーメークの機会が増えたことに加え、佐藤凪への粘り強いディフェンスも徹底していた。佐藤が39分とほぼフル出場だったのに対し、小田嶌はオフェンスが絶好調だったにもかかわらずプレータイムは27分で、ベンチから出た新井慶太が19分プレーした。小田嶌と新井の2人が交互に出て佐藤を徹底してマークすることで、そのスタミナと集中力を削り続けた。
東山では中村颯斗が20得点、佐藤が18得点4アシストを記録したが、明成の粘り強いディフェンスにより第4クォーターの勝負どころで力を残していなかった。それでも東山の留学生、カンダ・マビカ・サロモンがゴール下での強さを発揮して、明成も突き放せないまま終盤を迎える。
明成の2点リードで迎えたラスト1分。ディフェンスに徹してきた新井が難しいミドルジャンパーをねじ込んでリードを4点に広げる。続くディフェンスでは佐藤にタフショットを打たせるも、リングに弾かれたボールを高く跳んだサロモンがもぎ取る。そのままゴール下でのキャッチ&シュートに持ち込める場面だったが、206cmのサロモンの足元で165cmの小田嶌がボールを叩き落として奪い取った。
ディフェンスに徹してきた新井のクラッチショットと、エース小田嶌のクラッチスティール。明成はその後のファウルゲームを危なげなく乗り越え、勝利をモノにした。
「身長が低かったら何をしないといけないのか、小田嶌には1年生の時から求めていました」と自身も現役時代はスモールガードだった畠山コーチは語る。「やっぱり日頃の練習です。高校生なので浮き沈みは激しくて、授業があったり学校で何かあったりでメンタルがブレることはあります。それでも自分のやるべきことをやる、それを練習から徹底してやってきたつもりですし、3年生が体現してくれました」