
「私たちは巨大なファンベース、25年の歴史があります」
近年、NBAは欧州市場への進出をより積極的に行っている。レギュラーシーズンの欧州開催は2028年まで継続することが明らかになり、さらに3月末にはNBAとFIBAが共同で、ヨーロッパでの新リーグ創設計画を発表していた。
ただ、この新リーグが欧州バスケ界を代表する存在になるのかは懐疑的だ。すでにユーロリーグという欧州各国のトップチームが集う国際リーグが大きな人気を獲得しているからだ。そして、ユーロリーグは2025-26シーズンから参加チームを18から20に増やすなど、さらなる拡大に動いている。新たに加入するチームには、ABAリーグ(UAEを拠点としながらクロアチア、セルビア、スロベニアなど東欧のクラブで構成されるリーグ)に参戦しているドバイBCも含まれている。ユーロリーグは昨シーズンのファイナル4をドバイで開催するなど、中東マーケットへの進出に積極的であり、ドバイBCのリーグ加入はその流れをより促進させている。
現状はユーロリーグとNBAによる欧州新リーグがうまく共存できるのか不透明な部分が大きい。ただ、少なくとも欧州のビッグクラブの大半は今、ユーロリーグで戦っている。ユーロリーグのパウリュス・モティエユーナスCEOは、『The Athletic』の取材に対し、ユーロリーグ、FIBA、NBAの関係者で行われた会談について「ポジティブなものだった」と語る一方、「新しいリーグがバスケットボール市場を助けるものになるとは信じていません」と続ける。「オープンな姿勢で協力する用意はあると伝えました。ただ、新しいリーグは必要ないです。私たちは順調でユーロリーグは成長しています」
さらにモティエユーナスCEOは、「新しいリーグは混乱を引き起こし、分裂を生むことになります」と語り、具体的にはスポンサー獲得におけるマイナスの影響が出ると考えている。もし、NBAの新リーグが誕生すれば、ユーロリーグと欧州No.1リーグの座をかけた激しい闘争が起こるだろう。だが、モティエユーナスCEOは「私たちは巨大なファンベース、25年の歴史があります。欧州のコアなファンなら、誰もがユーロリーグのことを知っています。私たちは、このファンを失うことを恐れていない。なぜならより良い製品を自分たちが提供できると信じているからです」と自信を見せる。
今後もNBA側との会談は予定されている。それでも、ユーロリーグとNBA側が新リーグにおいて協調体制を取るとは想像し難い状況だ。