庵原有紗

創部3年目の『チャレンジャー』がインターハイ決勝へ

インターハイ大会5日目、日本航空北海道vs岐阜女子は、エースの庵原有紗が21得点10リバウンド、留学生のファトゥマタ・カマラが12得点16リバウンドと、軸となる選手の活躍により日本航空北海道が68-60で勝利した。

スタメンに留学生のいない岐阜女子に対し、186cmのカマラと180cmの庵原は高さで優位に立てるが、2人ともゴール下を強引にこじ開けるようなオフェンスは得意ではない。サイズで優位に立てても自分たちのバスケの遂行を優先し、岐阜女子のゾーンディフェンスをパスワークとアウトサイドシュートで攻めた。

「ゾーンもマンツーマンも来るので、空いているスペースを使った合わせやハイローなど、自分たちのいつものプレーを意識しました」と語るのは庵原だ。相手が待ち構える密集地帯に飛び込むのではなく、その手前から思い切り良く放つミドルジャンパーを決めていった。

「私はジャンプシュートを打つのがすごく好きなので、打てる時は思い切り打つようにしています。コーチからも『自信を持って打つように』と言われていたので、隙を見付けては打つようにしていました」

庵原がスペースに走り込む合わせのプレーもあれば、庵原に続く『第3の動き』としてカマラが別の角度からリングへと走り込み、そこに細かくパスを繋ぐコンビネーションも披露。カマラが最初のパスを受けて、庵原が『第3の動き』からフィニッシュに持ち込む逆パターンもあり、岐阜女子のディフェンスを混乱させた。その上で高さを生かすゴール下の攻めもきっちり織り交ぜていき、3ポイントシュートは宇都鈴々奈と1年生シックスマンの菅野愛子が3本ずつ決めるバランスの良いオフェンスを見せた。

日本航空北海道は創部3年目で、今日が初のセンターコート。そして明日が初の全国ファイナルとなる。「ここまで勝ち上がるのは初めてですが、昨日は京都精華学園(京都府)に、今日は岐阜女子に勝てて、全国の強豪と戦える自信がついています。今日みたいに自信を持ってプレーすれば勝てると思います」と庵原は言う。

「自分たちはチャレンジャーとしてコートに立っていて、どんどんチャレンジすることが勝利に繋がります。そういう意味で今日も一人ひとりが思いっきりプレーする姿がすごく良いなと思いました」

明日の相手は桜花学園(愛知県)。京都精華学園、岐阜女子に続いて全国大会で数多くのタイトルを獲得してきた名門と当たるが、庵原に気負いはない。「まずは40分間チームで戦いきって勝つことが目標です。私は中も外も積極的に攻められるように頑張ります」

一方の岐阜女子は終盤にオールコートプレスを仕掛けて一発逆転を狙うも及ばず。準決勝での敗退となったが、留学生がまだ下級生で主力にケガ人も出ている中での健闘でもあった。安江満夫コーチはそれらの状況を踏まえて「ここまでやってくれた選手たちを誇りに思います」と、その努力を称えた。