シュートタッチの良いサンズに、バックスがボールへの執着心で上回る
フェニックスでサンズが2勝し、ミルウォーキーに戻ってバックスが1勝を返して迎えたNBAファイナルの第4戦。48分間を通じて2桁の点差が付くことのない大混戦は、ホームのバックスが最後に109-103と抜け出して、シリーズを2勝2敗のイーブンに戻した。
試合を通じてシュートタッチが好調だったのはサンズで、開始4分半で12-4と先手を取る。逆にシュートの入らないバックスは先行されても慌てず、ヤニス・アデトクンボとブルック・ロペスが強引に仕掛けてゴール下のシュートで得点を繋いで踏み留まった。前半の最後はクリス・ミドルトンの3ポイントシュートで、バックスが52-52と追い付いて試合を折り返している。
後半も先行したのはサンズだった。ブッカーが手の付けられない絶好調ぶりで、ジュルー・ホリデーやパット・カナートンが付けば鋭いステップでズレを作って手前からジャンプシュートを打ち、アデトクンボが付けばスピードで抜き去った。得点を決めれば決めるほどマークは厳しくなるのだが、その得点ペースは落ちなかった。
第3クォーター残り6分、ブッカーが厳しくマークするPJ・タッカーのシューティングファウルを引き出し、タッカーは個人4つ目のファウルでベンチに。ところがブッカーも直後に個人4つ目を犯してしまい、ベンチに下がらざるを得なくなった。絶好調のブッカーにオフェンスで頼るところの多かったサンズは失速し、タッカー抜きでもオフェンスの勢いの落ちないバックスが一気に流れを引き寄せようとする。
しかし、ブッカーがベンチにいたのは2分半のみ。コートに戻るとすぐさま難しいミドルジャンパーをきっちりねじ込み、ここから第3クォーター終了までの3分間で3本のタフショットをすべて沈め、フリースローも2つ決めて8得点を挙げた。直近の25年間におけるNBAファイナルで第3クォーターまでに挙げた得点の記録は、ステフィン・カリーの40得点に続き、2番目がアレン・アイバーソンの38得点。ブッカーはここに並ぶ活躍を見せ、サンダーが82-76とリードして最終クォーターを迎えた。
だが、そのブッカーは再びファウルトラブルに陥る。第4クォーターが始まって1分、バックスが2本連続でオフェンスリバウンドを奪おうという場面で、阻止しに行ったブッカーがタッカーを押してしまい、個人5つ目のファウルを宣告される。こうなるとベンチに下がるしかなく、またもやリードは帳消しに。こうして終盤まで1ポゼッション差の大接戦が続いた。
終盤、ブッカーほど派手ではなくてもコツコツと得点を積み上げたクリス・ミドルトンが2本連続でミドルジャンパーを沈めて101-99とバックスが逆転に成功すると、ディフェンスでビッグプレーが飛び出す。ハンドオフからブッカーが相手を引き付け、ゴール下にダイブしたディアンドレ・エイトンを狙うアリウープに対し、一度はブッカーに寄っていたアデトクンボが異常な跳躍力で戻り、ショットブロックに成功。サンズの最大の武器であるプレーを止めたことで、流れは完全にバックスに傾いた。
追い付きたいサンズだが、この日はリズムに乗れていないクリス・ポールが痛恨のターンオーバーを犯し、速攻から失点。続くオフェンスでブッカーのアタックがPJ・タッカーに阻まれ万事休す。ファウルゲームに行くも、ミドルトンが4本、ホリデーが2本とフリースローをすべて成功させ、バックスが勝利した。
タフに戦って勝機を見いだしたバックス。その中にあって素晴らしいシュート技術を見せたのがミドルトンだ。フィールドゴール33本中15本を決めて40得点。チームが苦しい時に強気で攻めて得点を繋いだ彼の活躍が勝利には不可欠だった。
サンズは頼みのブッカーが最終クォーターにファウルトラブルもあって4得点止まり。しかし、それと同じぐらい響いたのがフィールドゴール試投数で78-97と大差を付けられたことだ。オフェンスリバウンドで5-17、ターンオーバーの数は17-5で、ファストブレイクポイントはバックスの15に対しサンズは0だった。いくらシュートタッチが良くても、ボールへの執着心でこれだけ差が付いたのでは勝つことは難しい。サイズとパワーで上回るバックスの勢いに飲み込まれないための対策が、第5戦までに必須となる。