ペイント内での戦い「男前が台無しだよ 」
バックスはサンズとのNBAファイナル第3戦で初勝利を収め、シリーズをタイにするべく明日の第4戦に挑む。
バックスは最初の2戦を落としたが、第3戦ではヤニス・アデトクンボがサンズのディフェンスをスピードとパワーで粉砕し、ゲームハイの41得点を挙げてチームを勝利に導いた。カンファレンスファイナルのホークス戦で痛めた左膝の影響からか、第1戦は20得点に留まった。それでも、第2戦、3戦と連続で40得点以上を記録し、リック・バリー、アレン・アイバーソン、シャキール・オニールに次いで、NBAファイナルの最初の3試合で100得点以上を記録した史上4人目の選手となった。
サンズはアデトクンボに目を光らせ、リングの前に常に2、3人を配置し突破を阻止しようと努めている。そして、アデトクンボにフィニッシュさせず他の選手にシュートを打たせようとするこの守備シフトは『ヤニス・ウォール』 (壁) と呼ばれる。サンズはディアンドレ・エイトンを筆頭に、ディフェンスに定評のあるジェイ・クラウダーやミケル・ブリッジズで包囲してアデトクンボのアタックを止めようとしている。
これを攻略する方法は2つある。ただボールを手放すのではなく良いパスを出して味方のチャンスを作り出すこと。NBAファイナルのここまで3試合でアデトクンボの平均アシストは4.7で、シーズン平均より数字を落としている。それでもアデトクンボのアシストで得点が生まれている時は間違いなくバックスの流れで、この時間を伸ばすことが一つのカギとなる。彼自身、「昔からパスを出すのは好きだったし、その能力はあった。2年前に壁を見始めてからは、パスのほとんどが信頼関係を築くためのようなものになった」と自信を語る。
もう一つは逆に、その壁をドライブで正面突破することだ。2人ないし3人で壁を作っても、強引に突破できるだけの力がアデトクンボにはある。第3戦でのアデトクンボは強引な突破からの得点に加え、サンズの総フリースロー本数(16)を超える17本のフリースローを一人で獲得し、そのうち13本を決めている。
アデトクンボ自身は「フリースローラインでかなりの打撃を受けている。いろんなところに傷ができて、男前が台無しだよ」と笑顔で語ったが、サンズにとっては死活問題だ。サンズの指揮官モンティ・ウィリアムズも敗れた第3戦をこのように振り返っている。「彼らはフィフティフィフティのボール、ペイントへの攻撃など、非常に力強くプレーしていた。我々は自分たちのプレーをすることができたが、安定感を欠いた。フリースローの差もあり、トランジションのディフェンスで失敗し、相手にコーナースリーを決められてしまった」
アデトクンボはここまで常に試合を楽しむことを重要視してきた。それは第4戦以降も変わらない。「僕の前に3人の人を置く『ヤニス・ウォール』も褒め言葉なんだ。フリースローで『1、2、3、4』とカウントする時もそう、何だっていい。常に楽しい要素を見つけなければいけないんだ」