上位通過は果たせずも、フランスに価値ある勝利を挙げた女子バスケ日本代表の寸評

2016/08/14
日本代表
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文=三上太 写真=Getty Images

勝ち切る姿勢を見せ、世界4位のフランスを終始圧倒

リオ五輪予選ラウンドの最終戦は、世界ランキング4位のフランスが相手。予選ラウンドを2位通過するためには15点差以上の勝利が必要で、13点もしくは14点差の勝利なら3位通過、それ以下での勝利か負けると4位通過という計算が絡んでくる複雑な一戦となった。
結果、勝利は収めるも点差は8止まり。足が止まる時間帯、ファウルトラブル、手痛いターンオーバーとネガティブなポイントもあったが、勝っていながらファウルゲームを仕掛けたり、3ポイントシュートを得意とする選手を最終盤に投入するなど、勝敗だけでなく、最後まで得失点差でも諦めなかった姿勢はチームとして評価できる。

吉田亜沙美
試合前の円陣で「勝つぞ!」と声を張り、チームを鼓舞した姿勢がフランス戦の勝利に結び付いた。プレーでも、前半はチームメートを生かしながら、チャンスがあればシュートを狙って9得点。後半になってチームメートに疲れが見え始めると、得意のディフェンスから速攻につなげたり、ドライブ、ジャンプシュート、3ポイントシュート(ブザービーター!)など、様々な攻撃で得点を量産した。
チームトップの24得点(うち第3ピリオドだけで11得点)。あえて厳しい注文をつけると、その攻め気を逆手に取られたターンオーバーが悔やまれる。勝ったのは吉田のおかげ、得失点差で届かなかったのは吉田のミスと言われても仕方がない(もちろんそれだけではないが……)。世界ナンバーワンの司令塔になるために、決勝トーナメントでその課題に挑んでもらいたい。

吉田は試合を通して仲間を鼓舞し続けるとともに、積極的なプレーを貫き24得点を挙げた。

本川紗奈生
序盤の勢いを生み出したのは、間違いなく本川のドライブ。フランスとしては栗原の3ポイントシュートとあわせて警戒していたはずだが、それを凌駕するスピードはまさに世界トップクラスと言っていい。多少のコンタクトを受けてもねじ込む強さも戻ってきた。
フリースローも確実に沈めて、前半だけで17得点をマーク。しかし後半はプレータイムが少なかったこともあって無得点に終わっている。欲を言えばこの試合では1本のみだった3ポイントシュートの確率をもう少し上げたい。

渡嘉敷来夢
思い切りのよいドライブや、ハイポストからのミドルシュート、そしてゴール下でのディフェンスやリバウンドで、本川とともに前半を引っ張った(前半は9得点7リバウンド)。
ただ、疲労からか徐々に動きが重くなり、4つのファウルを犯した点は次戦以降の課題。それでも第4ピリオド残り6分49秒の場面で登場すると、町田のジャンプシュートを引き出すスクリーンをかけるなど、自分のできるところでチームに貢献。エースとして、ファウルアウトをせずに最後までコートに立ち続けた点は評価できる。

過去4試合に続き攻守両面で存在感を発揮した渡嘉敷。後半はファウルトラブルもあり失速するも最後までプレーを続けた。

栗原三佳
シューターの宿命か、今日も厳しいマークを受けてシュートを3本しか打てなかった(うち3ポイントシュートは1本のみ)。無得点に終わったが、強いて言えば、1本は決めたかった。それでもシュートチャンスを求めて最後まで動き回ったことは、一方でシューターとしての意地が垣間見られた。
またミスもあったが体を張ったディフェンスやボックスアウト、そしてリバウンドに飛び込む姿勢など、直接得点につながらないところでチームに貢献している。

間宮佑圭
間宮にとっても試練の予選ラウンドとなった。早くリズムをつかみたかったからか、最初のステップスルーが強引すぎて、逆にリズムを失ったようにも見えた。その後も何度かあったチャンスも決められなかった。それでもオフェンスファウルを取るなど、ディフェンスで体を張り続けている点は評価できる。サイズのないセンターとしては、準々決勝でも我慢が求められる。

町田瑠唯
約10分の出場で3ポイントシュート1本を含む8得点を挙げたことは、バックアップのポイントガードとして合格点。ボールもよくプッシュし、ゲームのテンポを上げていった。しかし第2ピリオドの終盤、相手がうまかったとはいえボールを奪われ、ブザービーターを決められた点は今後の課題だろう。個人的には、もう少し出場時間を与えてもいいと思える働きをしている。

髙田真希
6得点に終わったものの、シックスマンとしての役割は果たしたと言っていい。持ち味でもあるミドルシュートとドライブを駆使して、積極的にフランスゴールに迫った。ディフェンス、リバウンドでも自らの持ち味を発揮したが、最終盤の追い上げの場面で犯したファウル(スクリーンプレーで腰を使ったと判定された)が痛かった。

オフェンスが停滞した時間帯にしぶとく得点を挙げる持ち味を発揮した髙田。シックスマンとしての役割は果たした。

近藤楓
安定した積極性を見せて、第3ピリオドの中盤に連続3ポイントシュートを沈めた点は、日本に欠かせないバックアップとしての役割を十分に果たした。また体を張ったディフェンスで相手のターンオーバーを誘った点も評価できる。不用意なファウルを犯したところは反省点だが、この働きを継続してもらいたい。

三好南穂
第4ピリオド残り25秒からの出場だったが、得失点差を考えたベンチの思惑をしっかりと理解し、ステップバックから3ポイントシュートを沈めた点は高評価(その時点でリードを11点差にした)。一瞬ではあったが、チームを始め、多くの人々に期待を持たせる3ポイントシュートだった。

長岡萌映子
プレータイムが伸びずに苦しんでいることは想像できる。バックアップの難しさを痛感しているところだろう。その意味で言えば、外れたとはいえ、速攻から3ポイントシュートを放った点、リバウンドに絡んだ点は、今の彼女にできる最大限の働きだろう。


結果的に得失点差で予選ラウンド4位通過となり、準々決勝で世界ランキング1位のアメリカと対戦する可能性が濃厚になった。反省点もあるが、これまでの女子日本代表の世界での戦い方(世界選手権を含む)を考えると、フランスに勝利したこと自体が評価に値する。フランスも得失点差を考慮して、最後は「負けても13点以下ならよい」と考えていたはずだから、つまりは日本がそこまで追い詰めた証拠でもある。「アジアを勝ち抜いて、世界の舞台に立つバスケット」から、次は「世界で上位に食い込むためのバスケット」を求める必要がある。個人としても、チームとしても、それを痛感できるゲームだったはずだ。
準々決勝でも、単に経験を積むためのゲームでなく、アメリカを今の日本のバスケットで倒しにいってもらいたい。

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