アジア女王の日本代表、リオ五輪でのメダル獲得の可能性を探る

2016/05/05
日本代表
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文=小永吉陽子 写真=小永吉陽子、野口岳彦
「メダルへの挑戦」――のスローガンのもと、アテネ大会以来となる12年ぶりのオリンピックに挑む日本。リオ五輪に向けて女子日本代表チームを紹介する。

アジア選手権で連覇中の日本は黄金期を迎えようとしている。

アジア連覇の要因は司令塔の吉田亜沙美、インサイドの間宮佑圭、渡嘉敷来夢の3本柱の戦力が充実し、チームディフェンス力と走力がアジアで際立っていることだろう。またこの3人を軸に、2013年にはキャリア豊富な大神雄子のリーダーシップが光り、2015年には走力で勢いをもたらした本川紗奈生や山本千夏らの若手も台頭。選手層の厚さが出てきている。

リオ五輪をかけた2015年のアジア選手権では、渡嘉敷がWNBA参戦で大会直前合流したため、大会を通してチームを作っていく形になった。そのため、準決勝までは我慢をしいられる展開になるも、ディフェンスで崩れることなく、決勝の中国戦においては走力が爆発した。

これまでの日本は高さの面で中国や韓国に押されるばかりか、試合展開の駆け引きで後手を踏むことが多かったが、代表歴10年のキャプテン吉田は、「ようやく中国と韓国に追いついて、追い越したところ」とチームの成長を実感している。

そのライバルたちは世代交代がうまくいかずに苦しんでいる。中国は選手個々のポテンシャルは高いもののリーダーシップを取る選手が不在でまとまりに欠け、韓国は長年代表を牽引してきたベテラン選手が大挙引退したことでキャリア不足が目立つ。アジアをリードしてきたライバル国が過渡期を迎えている中で、日本はスピードを生かした戦力でリオにチャレンジしようとしている。

リオ五輪でメダルは可能なのか?

リオ五輪の目標は「メダルへの挑戦」。日本協会・川淵三郎会長は「あくまで最初からメダルを獲るつもりで戦ってほしい。目標が高ければ日頃の心意気も練習態度も変わっていく」と選手たちにハッパをかけている。果たして日本のメダル獲得は可能なのか?

現実的に考えれば、世界大会でメダルを獲ることはとても厳しい挑戦だ。この20年間、日本がオリンピックに出たのは1996年のアトランタと2004年アテネ大会の2回で、成績はアトランタが7位でアテネが10位。

世界選手権においては2006年を除いて出場しているが、1998年9位、2002年13位、2010年10位、2014年大会は1次ラウンド全敗で14位。世界の舞台で決勝トーナメント進出を果たしたのは、この20年間でアトランタ五輪のみ。これが日本の現状である。

決勝トーナメント進出にあと一歩まで迫ったことは幾度もある。もっとも惜しかったのはアトランタ五輪の主力を擁して臨んだ1998年の世界選手権。2次ラウンド最終戦で中国に勝てばベスト8に進出だったが、あと1点届かなかった。また、2004年のアテネ五輪では開催国のギリシャに激闘の末に1ゴール差で惜敗し、あと一歩のところで決勝トーナメントを逃している。世界では接戦を制する「あと一勝」「あと1ゴール」がとても遠い。

どう戦えば世界の強豪に勝てるのか?

では、世界の舞台でどう戦えばいいのか。アジア2連覇中の日本は、アトランタ以来となる決勝トーナメント進出を狙える力は十分あるといえる。渡嘉敷、間宮、髙田真希、王新朝喜のインサイド陣は過去最強であり、走力もある。だが、アトランタ当時より足りないとすれば、チームプレーの精度とシュート力だろう。

アトランタ当時は、まさしくシャンソンとジャパンエナジー(JOMO→JX→JX-ENEOS)の2強時代。原田裕花、一乗アキ、萩原美樹子、村上睦子、加藤貴子、濱口典子、大山妙子らの主力は、1990年から6年かけて育成したメンバーであり、チームの呼吸が噛み合っていた。とくに一乗、萩原、加藤ら180センチの大型フォワードの台頭によって、3ポイントシュートもあればドライブもあり、どこからでも攻められる攻撃力が魅力だった。準々決勝のアメリカ戦では93-108で敗れたものの、93得点のスコアは対アメリカ戦では出場チーム中、最多得点。13本もの3ポイント(40.6%)ラッシュに観衆からは拍手が起こったほどだ。

しかし、今やどこの国も大型選手が3ポイントを決める時代。小さいチームならなおのこと、今以上に3ポイントの確率を上げることと、武器であるトランジションをさらにスピードアップさせることは必至である。加えて、内海知秀ヘッドコーチはこれまで勝ち切れなかった反省を踏まえて「ここ一番で得点が取れる形を作る」と課題を上げる。

2012年のロンドン五輪最終予選。日本は最後の一枚の切符をかけて互角と見られるカナダと戦ったが、何もさせてもらえなかった。カナダは前年の親善試合で2勝1敗と勝ち越した相手だったが、その時よりも3ポイントを強化し、インサイドと効率よく絡めてきたため、日本は対応できなかったのだ。日本はどんなチームに対しても戦い方が変わらないが、ライバル国はここ一番に向けて秘策を準備して臨む。あと一歩、あと一勝をもぎ取れるのは細部にまで共通理解が行き届いているチームである。日本が世界で格上と戦うならば、“仕掛け”は必ず必要になる。

2次合宿にWNBAフェニックス・マーキュリーでヘッドコーチ経験のあるコーリー・ゲインズを招聘したのもオフェンスの戦術を作るためだ。トランジションの中でいかに得点を取るか試すのが5月7日からのオーストラリア戦となり、その後のヨーロッパ遠征では修正を重ねてチーム作りをしていくことになる。吉田キャプテンは「やるからにはメダルを獲ることが目標で、その準備をしっかりとする」と抱負を語る。まずはオーストラリアとの強化試合で、日本が試す内容に注目したい。

バスケットボール女子日本代表国際強化試合2016
三井不動産 BE THE CHANGE CUP

5月7日(土) 会場:シティホールプラザ アオーレ長岡
5月9日(月) 会場:国立代々木競技場第2体育館
5月10日(火) 会場:国立代々木競技場第2体育館

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