リオ五輪内定者決定! 熾烈な競争の裏側と12選手の覚悟

2016/06/10
日本代表
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文=小永吉陽子 写真=足立雅史

欧州遠征から帰国したその日、内定者が発表された

リオ五輪内定選手の名前が一人ひとり、内海知秀ヘッドコーチから読み上げられる。檀上に上がる選手たちの顔つきは晴れやかというよりは神妙であり、かつ、日の丸を背負ってオリンピックの舞台に立つ責任と覚悟をひしひしと感じているようだった。

6月6日、リオ五輪に出場する内定12名が発表された。ヨーロッパ遠征から帰国したその足で渡嘉敷来夢を除く17名が会見場に向かい、そこで選手たちに当落が伝えられた。内定者発表会見が開かれたのはその直後だ。

4月上旬からの強化合宿で競い、昨年のアジア選手権では3大会ぶりの五輪出場を目指して苦楽をともにしたチームメートたち。だが、その18人の中から6人の選手が落選してしまう。たった数時間前まで一緒にいた仲間の姿がなくなったことで、会見場の空気はどこか重たかった。だが、そこはシビアな勝負の世界。

「この2カ月間、練習からバチバチやり合い、試合になれば全員が『絶対に残る』という気持ちを出して刺激し合ってきたので、ここにいる12人が日本の最強メンバーだと思っています」というキャプテン吉田亜沙美の言葉どおり、競争を勝ち抜いた12人の覚悟は一層強くなっていた。

3ポイントシュートとリバウンド強化を図った人選

「3ポイントシュートは日本の生命線」と言いながらも、実のところ、昨年のアジア選手権の勝負どころで3ポイントシュートが決まったのは決勝のみで、走力とディフェンスでつかんだ勝利だった。世界で戦うためには3ポイントシュートの確率を上げることと、リバウンドの弱さを克服することが大命題だ。そのため、今回の選考はよりシューターポジションに厚みを出し、リバウンドの強さを加えた人選となった。

昨年のアジア選手権から変わったのは3人。近藤楓、長岡萌映子、三好南穂が新戦力として加わった。

新戦力の中で真っ先に有力候補に挙がったのが近藤楓だ。強化試合での起用を見ても、短い時間でシュートを打ち切る持ち味を出していた。昨年7月のユニバーシアードでもメキシコ、オーストラリア、アメリカ戦と勝負の試合にはめっぽう強く、ベスト4入りに貢献。3ポイントシュートのみならず、ステップで切れ込んで2点、ステップバックで下がって3ポイントシュートが打てるなど、多彩なオフェンスを持つ。内海ヘッドコーチも「自分で切り崩して得点が取れる」点を評価した。

「日本のウィークポイントである3番(シューティングフォワード)で大型化を図れることと、リバウンドが取れることが強み」と内海ヘッドコーチが選出理由を語ったのが182cmの長岡萌映子だ。

かつて日本には、萩原美樹子、永田睦子、矢野良子という180㎝前後で内外角をこなしてリバウンドの強いスコアラーがいた。久しく空席になっていたこのポジションの強化こそが日本のカギを握ることは言うまでもなく、その期待を背負うのが長岡なのだ。

アンダーカテゴリーから世代別代表に選ばれて世界と戦い、高校3年時にはロンドン五輪のアジア予選のメンバーにも抜擢された。しかし、富士通では4番(パワーフォワード)を任されることから、日本代表でプレイする3番ポジションには迷いが見えるため、2014年の世界選手権では出番はほとんどなく、昨年は左ヒザを負傷したことで代表戦線から離脱してしまった。

だからこそ、今年の代表入りにかける思いはとても強かった。「代表に選ばれるためにWリーグを頑張ったといっても過言ではありません」と口にするほど、昨シーズンは得点とリバウンドにこだわって代表復帰を目指して戦った。まだまだ好不調の波があり、課題も多いが、長岡の成長が、即、日本のチーム力アップにつながることは間違いない。

リオ五輪に参加する12名の代表内定選手。

結果を残した者が生き残る世界、最後の最後まで競争だった

12人の選考の中でサプライズがあったとすれば、本人も驚いたという三好南穂だろう。

「正直、(12人に)入ったと思わなかったからビックリしたのが一番の感想です。今はジワジワと実感が沸いて、うれしい気持ちになりました」

昨シーズン、若きシャンソン化粧品の躍進には本川紗奈生とともに三好の積極果敢なシュートが欠かせなかった。だが代表には同い年の藤岡麻菜美の他、1、2番を含めたガード陣にライバルは多く、ヨーロッパ遠征に行く前は半ばあきらめていたという。

そんな三好が選出されたのは、吉田亜沙美や町田瑠唯といったスピードがあってゲームメイクに長けたタイプの司令塔とは異なり、「自分の良さは他のガードと違ってどんどんシュートに行くところ」だとアピールできたことだ。

選考レースは遠征の最終戦まで繰り広げられた。フランス、セルビア、トルコ、ベラルーシと戦い、ニュージーランドとの最終戦を控え、前日に発表されたスタメンは三好、篠崎澪、長岡、赤穂さくら、王新朝喜。

「あまり試合に出ていない選手たちが呼ばれたので、これは最後のチャンスだと思い、とにかく思いきりやりました」と言う三好は、30分以上のプレイタイムを勝ち取り、3ポイント4本を含む18得点をマーク。「シュートレンジが広く、3ポイントシュートを強気で打てる」(内海ヘッドコーチ)ことが評価され、3番手のポイントガードに滑り込んでみせた。

個々の力だけを見れば、12選手の当落の線引きは難しい。「選出されなかった選手たちに力がなかったわけではない。いろんな場面で試して起用した結果」と指揮官は選考理由を述べたが、今回は実戦の場で与えられたチャンスをモノにし、自分の特色を出した選手が選出された。それがオリンピックという大舞台で必要なことだからだ。何より、日本が欲している3ポイントシュートとリバウンドに厚みを出した人選となった。

3選手が入れ替わった日本は、平均年齢24.8歳と昨年よりも若返った。昨年のテーマである若さの“勢い”を成長に結びつけ、6月16日から始まるチェコ遠征、7月のセネガルとの壮行試合、7月末の南米遠征では、12人の役割をさらに明確化し、チームプレーの精度を上げていくことが求められる。