文=小永吉陽子 写真=小永吉陽子、野口岳彦
8月のリオ五輪に向けた準備を進める女子日本代表。今日からスタートする国際強化試合3連戦、対戦相手となるオーストラリア代表とKDB生命の戦力を探る。

FIBAランク2位のオーストラリアはディフェンスが武器の強豪国

女子日本代表がFIBAランク2位の強豪オーストラリアを迎え撃つ。日本代表が活動開始1カ月足らずで強化試合を行う意味について、内海知秀ヘッドコーチは「オーストラリア戦で出た課題を、その後の海外遠征で修正しながらチーム作りをしていくため」と説明する。リオ五輪を見据えて日本の現在地を確認するには、願ってもない相手だ。

オーストラリア女子代表のニックネームは「オパールズ」(OPALS)。オーストラリアを代表する宝石の名前からとったものだ。ちなみに男子は「ブーマーズ」(BOOMERS)と言い、男女ともにオセアニア選手権で優勝し、オリンピックの出場権を得ている。

女子はオリンピックでは1996年アトランタでの3位を皮切りに、シドニー、アテネ、北京と3大会連続でアメリカに次ぐ銀メダル。2012年のロンドンでは3位となり、5大会連続でメダルを獲得している。世界選手権では1998年と2002年大会で銅メダルを獲得した後、2006年大会で初優勝に輝いた。2010年は準々決勝で敗れるも、2014年には再び銅メダルに復活している。

その強さの秘訣は何と言っても、鍛えられたフィジカルとしぶとく粘り強いディフェンス。FIBAランク1位のアメリカのような華麗さはないが、高さとスピードの両方を兼ね備えたチームプレーを武器とするため、簡単には崩れない強さを持つ。

主力5名は不在だが、五輪代表候補の12名が来日

今回来日したのは紛れもないオリンピック代表候補の選手たちだ。大陸予選で出場権を獲得しているオーストラリアは日本と同様に選手選考の段階であり、強化の一環として来日する。

だが、来日しない主力メンバーが5名いる。渡嘉敷来夢とWNBAシアトル・ストームでチームメートのアビー・ビショップ(27歳)、経験豊富なペニー・テイラー(35歳)、2014年の世界選手権で大活躍したマリアンナ・トロ(26歳)とエリン・フィリップス(30歳)、ローラ・ホッジス(32歳)の5名が不在だ。ビショップとフィリップ、テイラーはWNBA参戦のために来日せず、ホッジスはフランスのチームでユーロカップに出場したスケジュールの関係で不在。トロは負傷であることが理由だ。だが、主力5名が不在であっても、2014年世界選手権メンバー6人、WNBA経験者5人を擁する布陣が強力であることに変わりはない。

注目選手は205センチの高さとパワフルさを持つエリザベス・キャンベージ(24歳)。先日、引退を発表した世界的なスター、ローレン・ジャクソンの後継者で、2012年のロンドン五輪ではオリンピック史上初となる女子でダンクシュートを決めた選手。2011年と2013年にWNBAで活躍したが、ここ数年は中国プロリーグのWCBAでプレーしており、2013-14シーズンにはWCBAファイナルで大神雄子(トヨタ自動車)と対戦している。

テッサ・レビーは次世代の司令塔として期待されている選手。昨年のユニバーシアード(韓国・光州)で日本とオーストラリアは準々決勝で対戦したが、その時に藤岡麻菜美とやり合ったのがこのレビーである。日本は粘った末にオーストラリアに83-71で勝利し、20年ぶりにベスト4入りを遂げたが、このレビーだけは止められなかった。日豪の次世代ポイントガード対決にも注目したい。

日本より格上であるオーストラリアだが、リオ五輪をかけた選考のため全力で挑むはずだ。

FIBAランク2位、実力はもちろん国際大会での経験も豊富なオーストラリア。

WKBLフューチャーズリーグを制したU-23世代が来日

U-23代表と試合をするのは韓国WKBLのKDB生命ウィナーズ。昨シーズンは6チーム中最下位。ここ4年間は最下位3回、5位1回と低迷しながらも、今回、参戦に白羽の矢が立ったのは、昨シーズンのフューチャーズリーグを制覇したからだ。

フューチャーズリーグとは、WKBLがルーキーと若手選手に出場機会を与えることを目的としたリーグ戦で、2013-14シーズンから開催されている。シーズンと並行して10試合の総当たり戦を行うフューチャーズリーグを制したのがこのKDB生命である。3年間で2度制していることからも有望な若手が揃ったチームと言えよう。

だが、有望な若手を擁しながらも、KDBが2年連続でリーグ最下位に終わったのは、外国人選手を含めた戦力が噛み合わず、またケガ人が多かったことが理由にあげられる。今回、韓国代表のポイントガード、イ・ギョンウン(28歳)、代表歴のあるハン・チェジン(32歳)をはじめ4名の主力選手が来日せず、23歳以下の選手だけでチームを構成していることからも、若手の経験の場として参戦する意向が見える。

今回来日する9名の中で注目選手は、昨シーズンのフューチャーズリーグでMVPを獲得したチン・アン(180センチ、23歳)。2012年に台湾から韓国の高校に転校し、2013年に韓国籍を取得した帰化選手である。180センチでセンター登録になっているが、アウトサイドからのプレーが得意で、昨年はU-19世界選手権にも出場した有望株だ。

またポイントガードのキム・シオン(175センチ、20歳)、センターのキム・ソダム(185センチ、23歳)もベンチプレーヤーとして成長中。チーム最長身187センチのイ・ジョンヒョン(23歳)は左ヒザの手術後のためベストコンディションでは臨めそうにないが、高さの面で覚えておきたい選手だ。

日韓のU-23対決となった今回の強化試合。選手層においては断然日本のほうが厚いが、KDBはフューチャーズリーグを制したチーム力で日本に対抗するだろう。

バスケットボール女子日本代表国際強化試合2016
三井不動産 BE THE CHANGE CUP

5月7日(土) 会場:シティホールプラザ アオーレ長岡
5月9日(月) 会場:国立代々木競技場第2体育館
5月10日(火) 会場:国立代々木競技場第2体育館

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