佐々木クリスと学ぶ『バスケ観戦術UP講座』Lesson2

2016/07/15
その他
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こんにちは、佐々木クリスです。ここではバスケをもっと楽しむための「観戦術」を一緒に学んでいきたいと思います。難しい戦術論をするつもりはありません。日本人なら大多数の人が、体育の授業でバスケをプレーした経験があるはずです。つまり、基本的なルールは誰でも知っているということ。ただ、その基本ルールに「観戦の知識」を少しだけ加えることで、バスケ観戦はずっと楽しくなるはずです。バスケをもっと楽しむための「観戦術」を、是非ここで覚えていってください。

佐々木クリスと学ぶ『バスケ観戦術UP講座』
vol.1 バスケはポゼッションゲームだ/ライブ・ターンオーバーに注目
vol.2 軽視できないフリースロー/ボックススコアはこう見る!
vol.3 クォーターの入り方に注目しよう/試合のテンポも駆け引きだ
vol.4 ディフェンスは見どころの宝庫/シュートを打たせない技術
vol.5 3ポイントシュートはどう防ぐ?/基本の連携プレー、スクリーン
vol.6 各ポジションの役割と見どころを解説


軽視できないフリースロー

派手なダンク、鋭いレイアップ、鮮やかな3ポイントシュート。これらに比べるとフリースローでの得点は地味です。でも、フリースローは軽視できません。相手からファウルを誘うプレーは、攻撃においてシュートを決めるのと同じぐらいの効果があると言えます。

ファウルをもらえていることは、つまり自チームの積極性の表れです。選手個人が1試合でファウルを5つ(NBAルールでは6つ)犯すと退場となるため、場合によっては相手のエースやキーマンをベンチに追いやることもできます。どんな好選手もベンチからは試合に影響力を及ぼせません。

ファウルがかさみ早めに交代せざるを得ない、またはもうファウルができなくなった状態を「ファウルトラブル」と呼びますが、これも相手に思い切ったプレーをさせない効果があります。

ファウルで得たフリースローは、地味ではあっても最も得点の期待値の高い攻撃です。フリースローでは75%の確率は期待したいところ。75%の選手が2本のフリースローを打てば、確率上は1.5点の攻撃となります。これは極めて効率の良い攻撃です。ペイントエリアからの2点シュートは確率が高い選手でも50~60%で、期待値は1.0~1.2点。3ポイントシューターが36~40%で1.08~1.2点です。

最も得点の期待値が高い上に、相手をファウルの数で縛り、場合によってはベンチに追い出すこともできる。それがシュート・ファウルを誘ってのフリースローなのです。1試合を通じて一方のチームが相手より10本多くのフリースローを放っていたとしたら、試合には相当な影響があったはずです。もちろん、10本のうち何本を決めたかも重要です。

ボックススコアはこう見る!

細かいスタッツが出るNBAはもちろん、Bリーグでも日本代表の試合でも、試合後にはボックススコアというデータが提供されます。このデータから読み取れることはたくさんあります。

僕はまずターンオーバーの数、そしてオフェンスリバウンドの数を比較します。というのも、この2つはポゼッション、つまり攻撃機会のボーナスに直結するからです。

同じリバウンドでも、ディフェンスリバウンドはちょっと違います。ディフェンスリバウンドが多くて、結果的にリバウンド数で相手を上回ったという場合でも、相手が完全なノーマークを何本も外している場合など、総合的なディフェンス力が高いとは言い切れません。加えてリバウンドの機会に対するパーセンテージなので、ディフェンスリバウンドを多く取れていても相手にオフェンスリバウンドも多く与えている場合などはディフェンスの優劣と直結するわけではないんです。

当たり前かもしれませんが、理想はディフェンスリバウンドをたくさん取って、相手にオフェンスリバウンドを与えていない場合です。ディフェンスが効いて相手のシュートを難しくしているし、きっちりリバウンドでディフェンスを終えている、ということですね。

ターンオーバーとオフェンスリバウンド、あとはフリースロー。この3つのデータから、どちらのチームが主体的に試合を進められたのかが見えてくるはずです。

NBAのコーチの中には『TFT』という人もいます。スリーポイント、フリースロー、ターンオーバーですね。やはり現代のバスケットの世界的な流れだと3ポイントシュートの優位性は大きくなっています。あるチームは3ポイントを6本決めて、もう一方は2本しか決めていない。そこに4本の差、つまり12点差があったら、ターンオーバーが6つ多くても帳消しになります。これは大きいですね。

PROFILE 佐々木クリス(ささき・くりす)
1980年12月24日ニューヨーク生まれ。青山学院大時代にインカレ優勝、ストリートバスケを経て千葉ジェッツの一員としてbjリーグでもプレー。現在はNBAアナリストとしてWOWOWのNBA中継に欠かせない存在となっている。