文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

ガードナーを前半無得点に抑える堅守を披露

12勝1敗と最高のスタートを切ったシーホース三河。前節の大阪エヴェッサ戦で比江島慎を休ませたのに続き、今日は代表合宿をリーグと並行してこなす橋本竜馬がベンチ登録から外れた。比江島もベンチスタートで、先発は狩俣昌也、金丸晃輔、西川貴之、桜木ジェイアール、ダニエル・オルトンという顔ぶれ。

試合序盤から新潟アルビレックスBBのエース、ダバンテ・ガードナーに対しオルトンが迫力満点のマッチアップを展開。オルトンは当たり負けせずにゴール下からガードナーを追い出し、アタックするコースに入らせないディフェンスで現在リーグ得点トップのガードナーを前半無得点に抑えた。攻撃では桜木ジェイアールのポストプレーを起点にコンスタントに得点を重ねる。さらには新潟のリスタートのスローインを狩俣がかっさらい、素早くつないだ西川の3ポイントシュートで突き放した。

第2クォーターに入ると、自由にプレーできないガードナーを使わずに五十嵐圭が積極的に自分で狙い、3ポイントシュート3本を含む10得点で新潟が追い上げる。第3クォーターも三河に流れがいきそうなところで踏み留まり、五十嵐が3ポイントシュートで狩俣のファウルを誘い、3本のフリースローをすべて決めて49-49と追い付いた。

これで一気に新潟が逆転するかと思われたが、それを許さなかったのが桜木ジェイアールのパワフルかつ老獪なプレーだ。前半以上に桜木にボールを集め、多彩なプレーでインサイドを攻略していく。この試合の桜木は10個のファウルを誘い、マークを担当する遥天翼、鵜澤潤がどちらもファウルトラブルに追いやった。残り3分半にはディフェンスリバウンドを取るとそのままコースト・トゥ・コーストでダンクをたたき込む。五十嵐が決めたフリースロー3本からの約7分間で17-4のラン。桜木が41歳とは思えないエネルギッシュなプレーでチームを引っ張った。

新潟が見せた終盤の猛追、あと一歩及ばず

66-53で始まった第4クォーターも三河の勢いは衰えず、勝敗は決したかに思われた。しかし、残り7分の時点でオルトンが個人ファウル4つでベンチに退くと、自由を得たガードナーがそれまでの鬱憤を晴らすような暴れっぷりを見せる。それまで4得点だったが、ここから13得点を荒稼ぎ。不意を突く3ポイントシュートに続き、強引なアタックでバスケット・カウントをもぎ取る。三河はオルトンをコートに戻すが、リバウンドを取って速攻に転じたガードナーを身体で止めて退場となった。

残り44秒、桜木が仕掛けてファウルを誘い、フリースロー2本を決めて82-75。これで決まりかと思われたが、ここで抜群の勝負強さを誇る城宝匡史が3ポイントシュートをねじ込み、次のディフェンスで耐えて城宝が速攻を決めて80-82、ついに三河を1ポゼッション差にとらえた。

しかし、反撃もここまで。残り15秒でファウルゲームに行くも、金丸が落ち着いてフリースロー2本を決め、84-80で三河が勝利した。

悔しい敗戦も「自分たちの力を証明できている」

三河の勝因は、攻めに桜木、守りにオルトンとアイザック・バッツのインサイド陣だった。桜木は23得点13リバウンドの活躍。10のファウルを誘ったことでも新潟を苦しめた。そして主にオルトンが、オルトン不在の時間帯はバッツが、ガードナーを徹底マーク。終盤に得点ラッシュを許したものの、ガードナーを今シーズン最少の17得点に封じた。

新潟の庄司和広ヘッドコーチは「前半ダバンテを抑えられた中でチームとしてアタックできたのは評価しています」と語る。ガードナーという大エースを擁しながら、そこに依存するのが弱点。五十嵐が攻めをうまくリードしつつ18得点を挙げ、終盤に城宝が当たり14得点を積み上げたことは大きい。ただ、「相手のフリースローが多くなってしまっているので、特に桜木選手のところをしっかり守れるようにやっていきたい」と語る部分はまだまだ課題。分かっていても止められないのが桜木だ。今日のプレーをどう分析し、明日の対応につなげるのかは注目だ。

城宝も「オン1の時にリードされているので修正が必要」と桜木対策の重要性を認識している。それでも「接戦に持ち込めているというのは自分たちの力を証明できていると思うし、相手は連勝中ですがやれないことはないと思う。今日も特に終盤追い上げのときの声援はすごかったので、その声援を背に明日も戦って三河の連勝を止めたい」と、第2戦に向かって意気込んだ。