勝負どころを見極め、最終クォーターの逆転勝利
天皇杯2次ラウンド、宇都宮ブレックスが信州ブレイブウォリアーズと対戦した。
B2リーグ全体2位と好調の信州は、前日にB1の三遠ネオフェニックスを撃破した勢いがあった。それでも、その気合が空回り。開始約3分でウェイン・マーシャルが2つ目のファウルを犯し、チームファウルも4に到達するファウルトラブルに見舞われた。
それでも、佐藤託矢を筆頭に身体を張ってマーシャルの穴を埋め、ディフェンスの強度を落とさず、宇都宮のお株を奪うディフェンスを軸に先行する展開に持ち込む。宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチが「激しさもあるし、駆け引きも上手い。よく訓練され、組織立ったディフェンス」と試合後に語ったほど、信州のディフェンスには見るべきものがあった。
だが信州は渡邉裕規のピック&ロールを止められず、第2クォーター開始3分半に橋本晃佑のミドルシュートを浴びて逆転を許す。さらに、マーシャルが早くも3つ目のファウルをコールされベンチに退くなど、再びファウルトラブルにも苦しんだ。
それでも交代で入った井上裕介がオフェンスリバウンドを奪い、この日ゲームハイの23得点を挙げた西山達哉の3ポイントシュートに繋げるなど、信州はチーム一丸で耐えしのぐ。オフェンスが停滞した場面では、アンソニー・マクヘンリーがタフショットを沈めて互角の展開に持ち込み、1点をリードして最終クォーターを迎えた。
「カテゴリーが違うチームに負けるわけにはいかない」
しかし、宇都宮は最終クォーターにその強さを発揮する。ファーストプレーで喜多川修平が逆転の3ポイントシュートを沈めると、直後には竹内公輔がオフェンスリバウンドからバスケット・カウントをもぎ取る。ボーナススローが外れたリバウンドを比江島慎が奪って竹内に繋ぎ、竹内はマーシャルから4つ目のファウルを誘発した。
最後まで信州の粘りに遭うも、最終クォーターだけで6つのオフェンスリバウンドを獲得し、セカンドチャンスポイントに繋げるなど、宇都宮は勝負どころでチームの強みを発揮した。さらに最終クォーターの3ポイントシュートが10本中1本しか決まらない信州に対し、6本中4本成功と宇都宮の勝負強さが光った。残り3分25秒に渡邉が3ポイントシュートを沈め、宇都宮がリードを2桁に乗せると、そのまま優位を保って最終スコア74-65で勝利した。
信州の指揮官、勝久マイケルは「結局18本のオフェンスリバウンドを取られました。40分間続かないことが彼らとの違い」と、B1のトップチームの継続力に屈した試合を振り返る。
一方、勝利したものの苦戦を強いられた宇都宮の安齋ヘッドコーチは「信州さんの強さをまざまざと感じたゲームでしたし、勉強になった。どっちがB1のチームか分からないようなゲームだった」と相手を称えた。
それでも、「カテゴリーが違うチームに負けるわけにはいけなかった。そこは選手たちがプライドを出してやってくれた」と、B1としての意地が勝利を引き寄せたと語った。
一発勝負のトーナメント戦では、何よりも結果が大事。3連覇中の千葉ジェッツが敗れる波乱もある中、内容はともかく勝ち上がったことに意味がある。