Bリーグ1年目の昨シーズン、仙台89ERSは奮闘むなしくB2への降格が決まった。その仙台で全60試合出場、チリジ・ネパウエに次ぐ平均24.4分のプレータイムを得てフル回転した片岡大晴は、京都ハンナリーズに新天地を求めた。彼にとっては2012-13シーズンにプレーした経験がある古巣だが、地元仙台へ強い愛着を持っていただけに、移籍は意外でもあった。どのクラブに行っても気持ちのこもった全力プレーでファンの心をつかむ片岡に、移籍を選択した理由と新天地での意気込みを聞いた。
「真っ先に、すごく熱意を持って声をかけていただいた」
──まずは単刀直入に、移籍した理由を教えてください。
仙台は地元だし、そこでバスケットをすることは自分にとってすごく大事なことです。それでも自分のバスケットボール人生を考えた上で、仙台にいる以上に大きい、もっともっと得られるものが京都にはあると感じたからです。
ブースターの方とかチームメート、フロントへの思いもあります。家族にも大きな思いがあって、仙台では両親や兄妹たちとみんなで幸せな2年間を過ごしていたので、それだけを考えれば仙台で続けていたかもしれません。でも、もっとチャレンジしたいと思ったんです。
──では、なぜ京都だったのでしょう。オファーは他からもありましたか?
いえ、京都が真っ先に、すごく熱意を持って声をかけていただきました。それでもう「行くしかない」と気持ちが固まりました。
なぜ京都かと言うと、仙台がどういうという話ではありませんが、ハンナリーズというチームは(浜口)炎さんを中心とした、一つの家族になって同じ目標に向かってバスケットボールに取り組んでいます。それはみんな当たり前に言うことだけど、それを体現できているかと言えば、実際そこまで徹底されているチームはないと思っています。
僕は4年前にハンナリーズでプレーさせてもらいました。その時に1年しか在籍してないんですけど、終わってから、バスケットに取り組む過程ですごい素晴らしいものを得られたと思いました。それは僕にとってすごく大切なんです。
──京都のカラーですね。片岡選手が感じる浜口ヘッドコーチの魅力はどんなものですか?
徹底する姿勢だったり、選手を導く力、真摯な姿勢ですね。人としての魅力を感じます。この人を勝たせたいし、チームに貢献したいなという思いが純粋にあります。
声やエネルギーは「生き残るため」に始めたもの
──あらためて片岡選手のプレーについて聞きたいのですが、自分のプレースタイルをどう見ていますか?
常にエネルギーを持って声を出し続ける選手でありたいと思っています。Bリーグになって1年やってみて、もちろん得点やいろんなプレーでまだまだいけると感じた部分もありました。それに加えて僕の長所はそういうところではなくて、姿勢やバスケットボール選手として強くいる姿だと思っているので、その部分で認められたいです。
──ニックネームである「ソルジャー」そのまま、コート上で戦う姿勢を前面に押し出すスタイルですが、こうして話しているとものすごく真面目で真っ直ぐ、丁寧で、ガツガツ戦う感じには見えないというギャップがあります。
もう身に着いちゃっているんですよね。なぜかと言うと、僕がルーキーで栃木ブレックスに入団した時はチームメートが日本代表クラスの先輩ばかりで、その中でどう自分を出していかなきゃいけないのかを必死で考えました。そうしないと生き残れないという思いでした。そうして見いだしたのが声だったりエネルギーです。それは1日とか1週間じゃなくて、シーズンを通して365日ずっと出すことができれば面白いと思ってもらえて、生き残っていけるんじゃないかと。そこから始まっているんです。
「最初は緊張しますが、バスケをやれば近くなる」
──そんなスタートでしたが、次がプロでの10シーズン目です。ベテランと呼ばれる年齢にもなりました。チームが変わってもそういう部分でチームを引っ張っていくつもりですか?
引っ張るという気持ちではないんですけど、チームに貢献したいという思いはあります。うるさいと思われるかもしれないけど、それが大切だということを出していきたいです。恥ずかしい部分はもちろんありますよ。「最初の練習でどうやって声出していこうかな」とか「うるさいと思われるんじゃないか」とか、いろんな思いはあります。
でも、それも含めてチャレンジなので、毎回それを思って最初の練習に臨みます。最初はやっぱり緊張しますよ。でも、バスケをやればグッと近くなるのは分かっていますから。
──まだ開幕まで間がありますが、京都のブースターにメッセージをお願いします。
『ソルジャー』というバスケットボール選手はどんな選手なんだろう、と興味を持ってほしいです。自分のことを知って元気付けられる人が一人でも増えたらいいなと思ってやっているので、そこを見てください。4年前にプレーした京都に戻って来ることができて、そのチャンスを得られたからにはしっかり頑張ろうという気持ちなので、その思いをプレーで届けたいです。
もちろん仙台の人たち、今までプレーしたすべてのチームの人たちにも、まだまだ頑張っている姿を届けたいので、ファンの皆さんのために、バスケットボールにかかわるすべての人に見せていきたいと思って頑張ります。