ビクター・ウェンバニャマ

シェイのMVP授賞式を見て奮起、49分の出場で41得点

ビクター・ウェンバニャマはNBA3年目となる今シーズン途中に、自分がMVPに相応しいと宣言した。それはMVPの最有力候補であるシェイ・ギルジャス・アレクサンダーへの宣戦布告のようなものだった。結果として、現地4月17日にシェイの2年連続のMVP受賞が発表されたのだが、2人の勝負はトロフィーの行方ではなく、カンファレンスファイナルでの直接対決で決まるべきだろう。

スパーズとサンダーのカンファレンスファイナル第1戦の試合開始前、サンダーファンの前でMVPの表彰式が行われた。スパーズを率いるミッチ・ジョンソンは、「自分に相応しいと思っているトロフィーをライバルが受け取るのを見て、刺激を受けない者はいない」と語る。実際、ウェンバニャマの闘志は燃え盛っていた。ダブルオーバータイムにもつれる熱戦で49分間プレーし、41得点24リバウンド3アシスト3ブロックの大活躍を見せた。

ディアロン・フォックスが足首のケガで欠場したことで、ステフォン・キャッスルとディラン・ハーパーの若手コンビがプレーメークを担うも、キャッスルは11ターンオーバーを記録し、ハーパーも相手の強烈なプレッシャーにボール運びで苦労を強いられた。

それでもウェンバニャマがポストプレーからの展開でオフェンスの組み立てを助け、自らも得点を重ねていく。こうして大量リードは奪えなくてもほとんどの時間帯でスパーズが先行する試合展開となったが、第4クォーターにシェイがMVPにしてクラッチプレーヤーの本領を発揮する12得点を挙げ、試合は延長へと突入した。

しかし、ウェンバニャマの本領発揮はここからだった。アレックス・カルーソの3ポイントシュート、ジェイレン・ウィリアムズとシェイのダンク連発で105-108と逆転された延長の残り27秒、追い込まれた状況でトランジションからディープスリーをねじ込む。この試合で3ポイントシュート成功のなかったウェンバニャマによる大胆なシュート選択は誰も予想していなかった。あえてチェックに行かず見送ったカルーソは苦笑するしかなかったし、勝利の予感に沸き立っていたペイコム・センターは静まり返った。

これで試合はダブルオーバータイムに突入した。両チームとも疲れが見えてきた中で、ウェンバニャマも体力的にキツそうな素振りを何度か見せたが、それを精神力で乗り越えていく。ダブルオーバータイムの5分間で3本のダンクを決め、フリースロー3本もすべて成功させて9得点。残り22秒にキャッスルからのロブをアリウープで叩き込むと、その直後にウィリアムズのゴール下をブロック。この攻守のクラッチプレーが決定打となり、スパーズが122-115で第1戦を制した。

シェイの活躍に刺激されたように、オーバータイムに入ってさらにアグレッシブになれた秘訣を、ウェンバニャマは「正直、自分でもよく分からない。こういう状況に置かれたのは初めてのことだから」と語る。

「でも、ただひたむきな意思の力で、無我夢中でプレーしていた。疲れたけど、想像していたほどじゃない。それはアドレナリンが出ているからで、気持ちが落ち着いた後はよく眠れそうだ(笑)」

MVPは自分こそが相応しかった、という論争については「まだまだ学ぶことはたくさんある。それにあのトロフィーはキャリアの中で何度も手に入れたいと思っている」と語るに留め、あくまで個人ではなくチームでの勝負であることを強調した。

「僕が伝えたいのは、このチームがどんな環境でも、どんな相手でも戦えるということだ。まだまだ学ぶことは多いけど、僕たちは他のどのチームよりも努力していると思っている。経験が足りない分は努力で補うことができるし、まさに今日のような試合が経験を得るための最善の方法だ」

「まだやるべきことは多いし、未知の試練も出てくるだろうけど、僕たちには勝つチャンスがある。今日勝てたのは大きいけど、長いシリーズになると覚悟しているよ。だから地に足をつけて戦い続ける」