マック・マクラング

Gリーグ歴代最多得点を更新するも、NBAでは出番なし

現地3月24日、ブルズのマック・マクラングはキャリアハイの59得点を記録した。しかし、ブルズとは言ってもウィンド・シティ・ブルズで、NBAではなくGリーグの試合だ。42分の出場でフィールドゴール34本中19本成功、さらに10アシストを記録。この59得点で彼はGリーグの歴代最多得点記録を更新した。

NBAドラフトにエントリーするも指名を受けられなかった2021年から、彼の主戦場はGリーグであり続けている。1年目にGリーグのルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ばれ、2年目にはセブンティシクサーズ傘下のデラウェア・ブルー・コーズでGリーグ優勝。マジック傘下のオセオラ・マジックでプレーした4年目の昨シーズンにはMVPに選出された。

その間にはNBAオールスターではダンク・コンテストで3年連続の(ぶっちぎりの)優勝を果たして一躍有名になってもいるが、NBAでの出場機会はほとんど得られないままだ。

10日間契約と2ウェイ契約を何度も結ぶものの、レイカーズ、ブルズ、シクサーズ、マジック、ペイサーズは彼をローテーションに組み込もうとしなかった。今はブルズと2ウェイ契約を結んでいるが、Gリーグで59得点を挙げたところで、そしてプレーオフ進出の望みを失った後の消化試合でも、ブルズはマクラングに出番を与えようとはしない。

最多得点記録を更新した時にマクラングは「この記録には大きな意味がある。支えてくれたコーチやチームメートに感謝しているし、『もっと良い選手になる』という努力を積み重ねた成果だ。エゴを捨てて今この瞬間に集中すれば、結果はついてくる」と語ったが、どう言い繕おうとも『史上最高のGリーグの選手』は不名誉な称号だ。

ポッドキャスト番組『Dan Patrick Show』での彼は、今の心境をこう明かしている。「ロスター枠を争う立場だとチームから求められるものは毎回違うし、そのたびに僕はどんな役割でもその求めに応じようと努めている。正直、キツいと思うこともあるよ。多くのコーチが『君はNBAで通用する。必要なのはチャンスだけだ』と励ましてくれるけど、『じゃあそのチャンスをくださいよ』と思うよ」

4年連続の優勝が懸かった今シーズンのダンクコンテストには出場しなかったが、その理由を「僕が出るなら出ない、という選手がいたと聞いている」と明かす。ただ、彼は出場に向けて準備していたダンクをyoutubeで発表しており、出場していれば4連覇は間違いなかった。

しかし、彼はダンクの呪縛から自分を解放しようとしている。彼はプロデビュー前からダンクの動画をSNSに投稿することで絶大な人気を集めていた。ダンクコンテストの成果もあり、彼のイメージは『ダンクの男』だが、実際にNBAで彼が求められるのはダンクではなく、チャンスを確実に決めるジャンプシュート、前から当たるディフェンス、ボールプッシュでペースを作ること、チーム戦術を的確に遂行するバスケIQだ。それもGリーグのコート上で証明済みのはずだが、ダンクのイメージが強すぎてかすんでしまう。

テキサス工科大での1年は、誰からも期待されるダンクをあえて封印した。『ネットで話題のダンク・スター』ではなく『チームを勝利に導くガード』であることを示すためだ。それはNBAドラフトに向けて自分の評価を軌道修正するためでもあったのだが、指名は得られなかった。それから今に至るまで、彼は『ダンクの男』のレッテルを剥がせずにいる。

『ESPN』の取材にマクラングはこう答えている。「厳しい世界なのは承知の上だし、僕にできるのはどんな状況でもベストを尽くすことだけ。僕はこれまでの経験から、キツい状況を受け入れ、感謝することを学んだ。困難に見舞われても『これは僕の物語をより良いものにするためのプロセスだ』と感じるようになった。これは僕の旅であり、物語だ。誰かに信じてもらえなくても、僕は自分自身を信じているし、それは素敵な物語だと思っているよ」