ブランドン・イングラム

キャバリアーズに3戦全勝、東カンファレンス2位と躍進

ラプターズは開幕戦に勝利した後は4連敗を喫したものの、そこから12勝1敗と絶好調だ。それでも下位チームとの対戦が多く、上位のキャバリアーズから挙げた2勝はいずれも相手が連戦の試合だった。

現地11月24日、今シーズン3度目のキャブズとの対戦も、キャブズは2日連続での試合となった。その影響もあって、ダリアス・ガーランドとジャレット・アレン、デアンドレ・ハンター、サム・メリルが欠場した。しかし、今回はラプターズも前日にネッツと対戦しており、2日連続の試合という点は両チームともに同じ。ラプターズの勢いが本物かどうかを試す絶好の舞台となった。

ラプターズは序盤は劣勢を強いられたものの、前半残り1分で逆転すると、そのままリードを保って110-99の勝利を収めた。これで連勝は8に伸び、通算成績は13勝5敗で東カンファレンスの2位につけている。

RJ・バレットの代役としてキャリア初先発となった2年目のジャコービー・ウォルターは、スタッツでは目立たないがディフェンスでドノバン・ミッチェルを抑え込む大仕事をやってのけた。オフェンスではブランドン・イングラムが37得点、スコッティ・バーンズが18得点6アシスト、イマニュエル・クイックリーが11得点7アシストでバレットの不在を埋めた。

イングラムとバーンズ、バレットとクイックリーの4人がバランス良く得点でき、スターターのリズムが悪ければベンチから出るサンドロ・マムケラシュビリとジャマール・シードが立て直す。シードはここに来てクイックリーとの2ガード起用も増え、一気にスピードアップし、創造性が増すこの組み合わせがラプターズの新たな武器となっている。

過去何年もなかったほどチーム状態は良く、ヘッドコーチのダーコ・ラジャコビッチは「シーズンのこの早い段階としては、ケミストリーとコミュニケーションは非常に良いレベルにある」と自信を持っている。「選手一人ひとりが競争心旺盛で勝ちたいと強く願っており、それでいてチームファーストを忘れずお互いを尊重している。互いに支え合い、励ましている。それが今の成功の最も大きな要因だ」

好調なチームにおいて、生まれ変わったようなパフォーマンスを見せているのがイングラムだ。ペリカンズには6シーズン在籍したが、年を重ねるごとに輝きを失い、昨シーズンは18試合にしか出場せず。それがラプターズ移籍を機に、鮮やかな復活を遂げている。このキャブズ戦では37得点を挙げただけでなく、ディフェンスやリバウンドにもエネルギーを注ぎ、ペリカンズ時代とは異なる姿を見せた。

イングラムは自身の好調についてこう語る。「移籍が決まって昨シーズンのラプターズの試合映像を見た。チームとしてどれだけハードワークしているかを確認し、自分もこのレベルでプレーすることでチームに溶け込みたいと感じたんだ。リバウンド、オフボールでの状況判断、オンボールでのディフェンスといった泥臭いプレーに力を注ぐことが自分の成長に繋がることは分かっていた」

長く在籍したチームを離れて移籍をする時には、さまざまな期待がある。ラプターズという新天地は彼にフィットし、お気に入りの部分を問われると「ダーコがロッカールームに叫びながら飛び込んでくることかな」と、指揮官独特の振る舞いをジョークにした。

「でも、冗談ではなく本気で言っているんだ。コーチが僕らにエネルギーをもたらす。練習でも試合でも、コートに足を踏み入れるたびに僕らに全力を出すことを求める。コーチ陣が全身で僕らを引っ張ってくれる、その存在感が僕は大好きなんだ」

「連勝が続いていても、僕らが浮かれることはない。そんな気分を持ち込むことはダーコが許さないからね。僕らが考えるのを許されているのは、次の試合のことだけなんだ」