
「自分が行ける時は狙おうと思っていた」
『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』のファイナルラウンド準々決勝が1月8日に行われ、三遠ネオフェニックスがアルティーリ千葉に87-79で勝利した。
湧川颯斗、根本大、浅井英矢、デイビッド・ヌワバ、河田チリジという若手主体の布陣で試合に入った三遠は、ゾーンディフェンスを駆使し、湧川や根本が随所で持ち味を発揮してリードする展開を作り上げていく。しかし、第4クォーターに入ると若さゆえのほころびが見え始め、A千葉の強度の高いディフェンスの前にここまで活躍を見せていた選手たちのシュートも入らなくなる。ターンオーバーから点差を縮められていき、流れに飲み込まれそうになった三遠だったが、その窮地からチームを救ったのは大浦颯太だった。
「第4クォーターに追い上げられたところで全員の足が止まったりだとか、弱気になった部分もあったので、自分が行ける時は狙おうと思っていた中で、あのようなプレーができたのは良かったです」
そう語るように、大浦は残り2分半で3点差に追い上げられた場面で値千金となるバスケット・カウントを獲得。直後のポゼッションでA千葉の黒川虎徹が3ポイントシュートを決めたが、大浦はお返しとばかりに長距離砲を決め返して流れを渡さなかった。
試合終盤には、ここまで強気なボールプッシュでチームを牽引していたヌワバが接触で足を引きずる場面もあったが、大浦はオフェンスをコントロールすることを徹底。要所でボールを収め、ヌワバの負担軽減にも一役買った。戦況を把握し、より良い選択肢を選んでタクトを振った大浦の冷静さが勝利を手繰り寄せた。

「味方の良さを引き出していきたい」
天皇杯は外国籍選手の登録数2名、そしてオン・ザ・コート1という、Bリーグと異なるレギュレーションが適用されている。さらに、ケガ人を多く抱える三遠は、この大会ではガードのヌワバ、センターのキャメロン・ジャクソンと、異なったポジションの外国籍選手でエントリーさせる選択をとった。ヌワバに大きな負担がかかっている現在のチーム状況に対し、大浦は「デイビッドに任せすぎてしまうのも良くないですし、自分がボールを持ちすぎても良くないと思っています。誰かが欠けた部分を僕が補おうとするのではなく、味方の良さを引き出していきたいと思っています」と、日本人選手の出場が多くなり、チームの総合力が試される天皇杯における勝ち筋を意識している。
そして、若手が先発を務めていることについては、大浦はこのように語る。「コートに立てば年齢は関係ありません。(自分がコートに立ったら)今まで経験してきたことを若い選手に見せられたら良いと思っています」
前回大会はセミファイナルで琉球ゴールデンキングスに敗れて涙を飲んだ。外国籍選手の起用法が制限される影響で、若手のプレータイムがレギュラーシーズンよりも増えている。さらにエースガードの佐々木隆成、チームの支柱である吉井裕鷹を欠くという厳しい状況下でも、大浦の心の中にある勝利への執着の炎は大きくなるばかりだ。
「言い方が悪いかもしれないですが、どんな手を使ってでも勝ちたい。より勝ちにこだわりたいと思っています。負けたら終わりのトーナメントであることを意識しながら、ブースターの皆さんに勝ち続ける姿を見せていきたいです」
三遠が栄冠を手にするには、熱い思いと冷静な判断力を持つ大浦の存在が必要不可欠だ。そう思わされた、セミファイナルの一戦だった。