
7リバウンドをもぎとり守備で大きな貢献を果たす
『第101回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会』のベスト8で、宇都宮ブレックスは千葉ジェッツ相手に最大19点のビハインドをひっくり返し、71-66で逆転勝利を収めた。
宇都宮は立ち上がりから千葉Jのインテンシティの高い守備に気圧されて、ペイントエリアにアタックができず外から単発のシュートを放っては外れる悪循環が続く。そして守備面では千葉Jの積極的なドライブを食い止められずに失点を重ね、第1クォーター終盤には6-25といきなりの出遅れを許してしまう。
だが、宇都宮は第2クォーターに入ると、守備で本来の強度を取り戻して千葉Jのインサイドアタックを封じる。また、オフェンスはD.J・ニュービルが要所でタフショットを決める抜群の決定力を見せ、自分たちの流れに引き込む。こうして徐々に追い上げていく宇都宮は、第4クォーター残り7分に遠藤祐亮の3ポイントシュートで56-54とついに逆転する。
ここから千葉Jも渡邊雄太の奮闘などで食い下がり、息詰まる激闘が続く。しかし、故障者続出で主力が出ずっぱりの千葉Jが最後にガス欠となったのに対し、宇都宮は最後まで力強いアタックを継続したことでわずかに上回った。
宇都宮の勝因は、第2クォーター以降わずか41失点と、試合中に自分たちのやるべきディフェンスを取り戻したことが挙げられる。この堅守に大きく貢献したのが21歳の若手フォワード、星川開聖だ。ここまでBリーグではなかなか、出場機会に恵まれていない星川だが、外国籍選手がオン・ザ・コート1となる天皇杯のレギュレーション変更と主力の高島紳司の故障離脱で生まれたチャンスを生かし、18分40秒出場で3得点7リバウンド1スティールと、チームの期待にしっかりと応えた。
194cmの星川はいつものウイングプレーヤーとしてだけではなく4番ポジションでもプレーし、持ち味である強靭なフィジカルを生かし自分より一回り以上大きい渡邊雄太にも当たり負けしなかった。「リーグ戦とはポジションが違ったりして、相手の外国籍だったり渡邊選手など得点能力の高い選手のマークにつくことが多かったです。そこで身体を張って守る自分の役割では貢献できたと思いますが、ファウルが多かったことは改善点です」

「信頼を得るためにも大切な大会」
ベンチスタートの星川が試合で初めてコートに入った時、チームは大量ビハインドの劣勢だった。そこで「エナジーを出してディフェンスをやっていく。ルーズボールだったり、気持ちで変わる部分は自分が率先してやっていかないといけないと思いました」と強い気持ちで入り、実際に彼のがむしゃらなプレーはチームに勢いを与えた。
星川は大学2年生のシーズンを終えた後に筑波大を退学し、プロ契約で昨シーズン途中に宇都宮へ加入したが、リーグ屈指のタレント集団の中で5試合の出場に留まった。オフにしっかりと準備をした上で迎えた今シーズンは出場機会を貪欲に狙っていたが、リーグ前半戦は望む形とならなかった。ただ、そのような状況でも「結果がついてこないとモチベーションが下がる時もあります。その中でも自分のやるべきこと、継続すべきことにフォーカスしてきました。苦しい時もヘッドダウンせず、今回みたいなチャンスに向けて準備をしてきました」と、ハードワークを続けてきた成果が天皇杯の大舞台で出ている。
星川の武器であるフィジカルは、学生時代からこだわりを持って取り組んできた筋力トレーニングの賜物だ。そしてこの試合で、Bリーグのトップクラス相手にも通用することをあらためて証明した。「自分のプライドです」と語るパワーの源について、「なんというか自分の脳みそと分離して筋肉が自発的に『やってやるぞ』みたいに、脳みそを支配してくる感じです。僕がやるぞというより、(上腕二頭筋を指さして)コイツがやってやるみたいな(笑)」と独特の表現で自信を見せる。
優勝まであと2勝と迫る中、星川は「ポジションが違うにせよプレータイムが増えているこの大会で、優勝に貢献したいです。そしてシーズン後半戦に向けてコーチ陣、チームメートの信頼を得るためにも大切な大会だと思っています」と闘志を燃やす。
昨シーズン、宇都宮は小川敦也が大きな飛躍を遂げ、リーグ優勝に大きく貢献したのが記憶に新しい。そして洛南高校、筑波大と小川と同じ道筋で宇都宮に加入した星川は今、小川に続くヤングコアかつ地元出身のフランチャイズプレーヤーになり得る逸材として、飛躍の時を迎えている。