D.J・ニュービル

「海外のいろんなチームと対戦できるのは大好き」

宇都宮ブレックスはりそなグループ B.LEAGUE 2024-25シーズン王者としてEASL(東アジアスーパーリーグ)に出場する。開幕戦は10月8日、台北和平籃球館でのアウェーゲームで、台北富邦ブレーブス(チャイニーズ・タイペイ)との対戦。10月22日にはブレックスアリーナ宇都宮にソウルSKナイツ(韓国)を迎えてのホームゲームが行われる。

EASLは今シーズンから出場チームが8から12へと拡大し、これまで2つだった日本の出場枠も3つに増えた。日本とチャイニーズ・タイペイから3、韓国から2、フィリピン、モンゴル、香港、マカオが各1の12チームが、3つのグループに分かれて10月からホーム&アウェーのグループリーグを戦い、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。ここからは新方式の「Round of 6」で東アジアの王者を決める。

宇都宮は6月のFIBAバスケットボールチャンピオンズリーグアジア2025(BCLアジア)で優勝し、9月にはFIBAインターコンチネンタルカップにも出場して国際大会の経験を積んでいるだけに、EASLでも優勝候補の一つに挙げられる。

BCLアジアで大会MVPに輝くなど、この夏の国際大会でプレーメイクと得点の両方で突出したパフォーマンスを見せたのがD.J・ニュービルだ。舞台が大きければ大きいほど燃える宇都宮のエースは、「海外のいろんなチームといろんな場所で対戦できるのは大好き。様々な選手、様々なプレースタイルを見ることを楽しみながら、チャレンジを引き受けていきたい」と、EASLでのプレーを心待ちにしている。

開幕戦で対戦する台北富邦ブレーブスは、P.LEAGUE+準優勝チーム。チャイニーズ・タイペイの『生ける伝説』である43歳の林志傑が強烈なリーダーシップを発揮し、代表でも活躍する周桂宇がニュービルや比江島慎を抑える役割を担う。2年前のEASLでは1勝5敗でグループ最下位と苦戦。出場しなかった昨シーズンは同じチャイニーズ・タイペイからニュータイペイ・キングスと桃園パウイアン・パイロッツがFINAL4進出を果たしており、今回のEASLでライバルを上回るモチベーションは高い。

開幕を前に、宇都宮のジーコ・コロネルヘッドコーチは「長期の計画としてプランしていくところはあるが、まずは目の前の試合にフォーカスする。そこでの課題を修正して成長し、次の試合に繋げていく」と語り、BリーグとEASLをフラットに見て、毎試合でベストを尽くす姿勢を強調した。

そして指揮官は、チームのモチベーションを高める材料としてEASLを活用しようとしている。「一昨シーズンはチャンピオンシップのファーストラウンドで敗退し、オフは長くて負けてしまった悔しさもあり、次のシーズンに向けたモチベーションは作りやすかった。今回は優勝して、国際大会もあったのでオフがなかった感覚。新しいシーズンに対して、いかにモチベーションを作っていくかというところの難しさもある」

比江島慎を始めとする選手たちが、これまで宇都宮が勝ち取っていないEASLのタイトルを目標に掲げることを歓迎し、そのモチベーションをチームの成長に生かすのが指揮官コロネルの考えだ。

比江島慎

日本人エースの比江島慎「世界に繋がる大事な経験値」

グループAの残る2チームはソウルSKナイツ(韓国)と香港イースタン(香港)。ソウルSKナイツは韓国の強豪で、2年ぶりのEASLで初優勝を目指す。2023-24シーズンのEASLではファイナルに進出するも千葉ジェッツに敗れたが、残り1分を切って1点差という大接戦で、その激闘はファンの記憶に新しい。エースにして勝利のために泥臭いプレーに徹することもできるアン・ヨンジュンは昨シーズンの国内リーグでMVPに選出され、30歳になった今がキャリアの全盛期と言える。

また、香港イースタンは昨シーズンにEASL初出場。開幕戦で広島ドラゴンフライズに敗れるも、劣勢でも強度を落とさない精神的なタフネスぶりが印象に残る善戦だった。グループリーグ突破こそ果たせなかったものの3勝を挙げ、初出場ながら存在感を発揮した。2年連続のローカルリーグ王者として2度目のEASLに挑戦する。

そんなアジアの強豪と宇都宮は対戦する。これまで日本代表としてアジアとの戦いに身を置いてきた比江島慎は、EASLに大きなモチベーションを抱いている。Bリーグについて「優勝した次のシーズンにチャンピオンシップに進めなかったことが過去にあったので、気を緩めないように。10年間の締めということもありますし、宇都宮は連覇をしたことがないので優勝したい」と意気込むとともに、EASLには「取ったことのないタイトルを取りたい」と意欲を示す。

「スケジュールは厳しいですが、どうせやるなら優勝したい。そこへのモチベーションは高いです。また、若手にとってはアジアですけど世界に繋がっていく大事な経験値を得られる大会です。チャンピオンになって終わりたい」