
オフェンスリバウンドで違いを生み出す
ユーロバスケットのベスト16は、スウェーデンがトルコを苦しめ、ポルトガルもドイツ相手に第3クォーターまで一歩も引かない健闘を見せた。そしてフィンランドは、優勝候補のセルビアを92-86で撃破した。
開始4分で16-5とフィンランドがリード。ニコラ・ヨビッチは「フィンランドが出だしから最高のプレーをしたのに対し、僕らは準備ができていないまま試合に入ってしまった。僕自身もそうだし、チーム全体がそうだった」と語る。
そこからセルビアは盛り返し、第2クォーターを24-16として逆転するのだが、勢いは長く続かなかった。トルコとのグループ最終戦がそうだったように、ボグダン・ボグダノビッチが戦線離脱した後、オフボールの動きに乏しくガード陣がチャンスを作れなくなった。ニコラ・ヨキッチは33得点8リバウンド3アシストのスタッツは残したが追い上げる時間帯が長かったため、オフェンスにエネルギーを使わざる得なくなり、ディフェンスとリバウンドまで力が残っていなかった。
そしてフィンランドが、リバウンドから再びペースをつかむ。若くエネルギッシュなフィンランドは20本ものオフェンスリバウンドを奪い、セカンドチャンスから23得点を挙げた。
セルビア代表を率いるスベティスラフ・ペシッチは「相手を過小評価することは全くなかった。しかし、あのオフェンスリバウンドに対策を見つけられなかった」と語る。「フィンランドのフィールドゴール成功率は41%しかない。それでも92得点を奪えた理由はオフェンスリバウンドだ。特に試合終盤のオフェンスリバウンドは相手に新たな自信を与えてしまう」

マルカネン以外にも3人が2桁得点とチームで奮闘
フィンランドのエース、ラウリ・マルカネンは29得点を挙げたが、フィールドゴール24本中8本成功(33.3%)で3ポイントシュートの成功は1本のみとシュートタッチは低調だった。むしろ、ミロ・リトル、ミカエル・ヤントゥネン、エリアス・ヴァルトネンが2桁得点をあげ、この3人でフィールドゴール25本中14本成功と効率良く得点を奪ったのが大きく、マルカネンだけのチームではないことを示した。
一方でセルビアは33得点のヨキッチ、20得点のヨビッチ以外にオフェンスで何かをもたらす選手が出てこなかった。フィンランドがセルビアに勝ったのは『大金星』と表現して良いだろうが、フィンランドは勝つに値したし、セルビアはそうではなかった。
フィンランドを率いるラッシ・トゥオビは「選手たちはチームのために献身的にプレーし、それを楽しんでいた。そのことに大きな称賛を送りたい」と語り、ペシッチが挙げたオフェンスリバウンドについて「間違いなく我々の強みだ」とし、試合前からセカンドチャンスを狙っていたと明かした。
「ウチはあまり良いシュートでなくてもアウトサイドからクイックで狙っていく。理想のシュートではないかもしれないが、相手にとってはボックスアウトが難しいシチュエーションだ。そういう意味で、ウチの選手たちはボールのないところでも努力を怠らない。それがオフェンスリバウンドの強さに繋がっている」
優勝候補のセルビアを撃破したことは大きな自信になる。指揮官トゥオビは「我々はアンダードッグであることを楽しんでいるよ」と笑みを見せた。「我々のような小国はユーロバスケットやワールドカップに出場するだけでも大変で、簡単な相手は一つもいない。ここにいる時点で誇りに思っているし、今日の勝利を本当に誇りに思う。次の試合も難しいものになるだろうが、謙虚さを保ちながら、大きな夢を見たい」