タイリース・ハリバートン

「何を言ってるんだ、NBAファイナルだよ?」

タイリース・ハリバートンが『Pat McAfee Show』に出演した。ペイサーズ躍進の立役者だったハリバートンだが、NBAファイナル『GAME7』序盤にアキレス腱断裂の大ケガを負い、悲劇のヒーローとなってしまった。サンダーの優勝でシーズンは幕を閉じたが、敗れてもなお彼とペイサーズの健闘ぶりは称えられるべきだ。ただ、彼がシーズンを振り返るコメントをする機会はないままだった。

あれから1カ月が経過し、手術は無事に成功してリハビリを進めており、彼はケガについても明るい表情で語った。「試合を続けられないのが辛かった。NBAファイナルの『GAME7』という舞台に集中していたのにケガをするなんて最悪だよ」

この試合でハリバートンがプレーしたのはわずか7分5秒だが、4本中3本の3ポイントシュートを決めて9得点を挙げていた。「プレーオフを通して小さなケガはあったけど、ずっと調子は良かったんだ」と彼は振り返る。「NBAファイナルの初戦ではブザービーターを決めた。第2戦の途中に足首に痛みを感じ始めて、脱水症状になりかかっているんだと思った。検査で異常はなかったけど、第3戦から痛みはあった。そして第5戦でふくらはぎの肉離れになった」

2勝3敗と後がない状況でホームに戻っての第6戦、ハリバートンは強行出場する。「医師からは『レギュラーシーズンなら数週間は休まなければいけない』と言われたけど、僕は『何を言ってるんだ、NBAファイナルだよ?』と思っていた。試合前の検査にパスして無事にプレーできた。大差で勝ったから23分しかプレーしなかったし、試合が終わったら相当痛むだろうと覚悟していたのに、全く痛みがなかった。試合でアドレナリンが出ていれば大丈夫、第6戦でもうケガの問題は乗り越えたと思った

そして勝負は『GAME7』へ。「痛みは全く感じなかったし、自分が絶好調だと分かっていた。だからスタートからすごく良いプレーができた。残念ながら、そこで何が起きたのかはみんなの知っている通りだ」

ペイサーズ

「今の僕にできるのはリハビリに全力を尽くすこと」

プレーオフの激戦を続けるうちに消耗し、ふくらはぎの肉離れで別の部分に余計な負荷が掛かる。それがアキレス腱断裂に繋がったと世間は見ているが、ハリバートンは「単なる不運だ」と断言する。

「試合が多すぎる、プレータイムが長すぎるとみんな言うけど、それがケガの原因だとは思わない。プレータイムも試合数も同じなのに、昨シーズンのプレーオフでアキレス腱断裂は起きていない。1年でいきなり選手への負荷が高くなることはない。結局はただの不運なのさ。ケガが起きる理由をみんな知っているみたいに話すけど、突然起きてしまうだけのことなんだ」

「来シーズンにプレーできないことの意味が、僕にはピンと来ていない」とハリバートンは言う。「チームが始動してチームメートが集まり、開幕して、そこで自分がプレーできない状態に置かれるまで、本当の意味でその重みを感じることはないと思う。はっきり言って最悪だけど、リハビリを頑張って、絶対に復帰する。そしてまた優勝争いを演じるんだ。実現する保証はないけど、今の僕にできるのはリハビリに全力を尽くすことだけだ」

ハリバートンの離脱は長引くし、チームリーダーだったマイルズ・ターナーは移籍を選んだ。ペイサーズはここ2年そうだった『NBAのベストチーム』の座から一歩後退を余儀なくされるだろう。

しかし、ハリバートンはまた華やかな舞台に戻って来るつもりでいる。彼のプレーを起点とする疾走感あるペイサーズの攻撃的なバスケが、また最高の舞台で見られる日を待ちたい。