ジミー・バトラー&ステフィン・カリー

ジョナサン・クミンガの去就が決まらず、補強が進まず

NBAの今オフはデイミアン・リラード、ブラッドリー・ビール、ディアンドレ・エイトンとバイアウトを活用したロスター調整が相次ぎ、例年とは異なる様相を呈しています。ドラフトから1カ月が経過して各チームとも編成が一段落した印象がある中、ウォリアーズは新戦力の獲得が一向に進んでいません。

最大の要因は制限付きフリーエージェントになっているジョナサン・クミンガの動向が決まらないことです。本人が望む高い契約を前提とするならばサイン&トレードが濃厚で、そうなるとウォリアーズ側は複数人のロールプレーヤーを受け取るため、キャップスペースに余裕を持っておきたい事情があります。しかし、クミンガが望む契約を提示するチームはなかなか現れず、短い契約年数での残留となる可能性も出てきました。ウイングの補強をしたくても、クミンガの去就が決まらないことには次の動きに移ることができず、編成がなかなか進みません。

プレーオフではセカンドラウンドでティンバーウルブズに完敗を喫するも、敗因はケガでステフィン・カリーを欠いたことでした。昨シーズン途中にジミー・バトラーを獲得して現状の戦力に自信を持っていることも補強に積極的ではない理由です。

カリー、バトラー、ドレイモンド・グリーンと中心選手は変わらず、ペリカンズへ移籍したセンターのケボン・ルーニーと、まだ契約が決まっていないゲイリー・ペイトン二世のローテーションプレーヤー2人の穴を埋めれば良いと考えれば、焦る必要はないのかもしれません。

ルーニーの抜けたセンターの補強にしても、バトラーがインサイドのスペースを使うタイプのため、クインティン・ポストのようなストレッチタイプのセンターが好ましく、その点でセルティックスとの契約が満了となったアル・ホーフォードに興味を示しています。市場には他にもクリス・ブーシェイやトーマス・ブライアント、トレイ・ライルズといったストレッチタイプのセンターがいますが、最優先のホーフォードの回答待ちです。

しかし、慌てる必要はないとしても、安心はできない状況です。すでに市場にビッグネームがほとんど残っていない今、クミンガが残留し、アル・ホーフォードを獲得できたとしても、優勝を狙えるだけのロスターを作れるかどうかは疑問が残ります。

ケビン・デュラントを加え得点力を向上させたロケッツ、マーカス・スマートとエイトンを安く補強したレイカーズ、選手層の強化に成功したナゲッツと西カンファレンスの上位陣は自分たちの課題に向き合った補強を実現しており、クーパー・フラッグのマーベリックスとディロン・ハーパーのスパーズと追いかけるチームもドラフトで大きな新戦力を加えています。NBA王者となったサンダーは昨シーズン以上に強いチームとなるはずで、ライバルがそこに追い付こうと積極的な補強を進める中、ウォリアーズは消極的に見えます。

48勝を挙げてもプレーイン・トーナメントに回るほど競争の激しい西カンファレンスにおいて、現状維持は『後退』を意味します。37歳のカリー、35歳のバトラーとグリーン。いまだNBA屈指の実力を保っていても健康にシーズンを戦い抜けるかどうかの不安は年々大きくなります。その不安を払拭するためにも、クミンガの去就を早期に決めて、ロスターを確定させるための補強に動きたいところです。