ケビン・デュラント

デュラント獲得よりチームの長期的な成功に注力か

1週間後に迫ったドラフトも手伝い、今後どんどん増えていくことが予想されるトレード。先日はグリズリーズのデズモンド・ベインのマジック移籍が報じられたが、今、一番の注目を集めているのがサンズのケビン・デュラントだ。

今シーズン、プレーオフ出場すら逃したサンズは抜本的なチーム改革を必要としている。一方で、ケビン・デュラントは依然としてトップクラスの実力を保っているものの、すでに36歳のベテランであり、再建期のチームに長く関わる時間は残されていない。

さらに、サンズに生え抜きのデビン・ブッカーを放出するという選択肢はなく、プレーヤーオプション込みで残り2年で合計1億ドル(約145億円)以上という高額年俸のブラッドリー・ビールは、トレード先を見つけるのが難しい。その結果、契約が残り1年約5500万ドル(約80億円)と比較的扱いやすく、かつ市場価値の高いデュラントが『高額年俸トリオ』の中で唯一放出可能な選手となっている。

デュラントの移籍先にはロケッツ、ヒート、スパーズなどが挙がっており、『The Athletic』は「本命はスパーズ」と伝えている。デュラント、ビクター・ウェンバニャマ、ディアロン・フォックスのビッグスリーは、ポジション面のかぶりがなくバランスもいい。一気にウェスタンカンファレンスの上位争いに食い込んでもおかしくない破壊力だ。

だが、『ESPN』のシャムス・カラニアは、スパーズがデュラント獲得に大きな興味を持っていないと語る。ESPNの人気トーク番組『Pat McAfee Show』に出演した際、彼は次のように主張している。

「今、私の理解している情報において、スパーズはケビン・デュラントの獲得に積極的ではない。もちろん関心は持っている。デュラントに興味を持たないチームなんていない。ただ、デュラントを得るための代償と、今の彼らが保持している戦力と可能性が示す将来性を比較した場合、ヒートのような熱心さはないかもしれない」

カラニアの指摘通り、ウェンバニャマは21歳、フォックスも27歳とこれからの選手だ。いくら傑出した実力を持っているとはいえ、36歳で、短期的な戦力としか計算できないデュラントを獲得するために、24歳のデビン・バッセル、25歳のケルドン・ジョンソン、22歳のジェレミー・ソーハン、20歳のステフォン・キャッスルといった将来性のある若手を放出するのは、長期的な視点でみれば大きなマイナスとなる。

さらに、スパーズはかつてティム・ダンカン、トニー・パーカー、マヌ・ジノビリの生え抜きトリオを中心に黄金時代を築いたように、継続性を重視するスタイルだ。スパーズが複数の有力な若手という大きな代償を支払ってまで、デュラントの獲得に動かないのは自然な流れとも言える。

果たして、デュラントの新天地はどこになるのか。ロケッツ、ヒート、スパーズ以外のチームが出てくるのかも含め、引き続き大きな関心を集めそうだ。