ベンチメンバーがリードを生み出し、エースが決める
勝利したチームが優勝へ王手をかけるNBAファイナル第5戦は、ここまでの内容と同じくサンダーが優位に試合を進める展開となりました。ただし、その得点パターンは第4戦までとは異なるもので、ペイサーズはその対応に苦しみました。
サンダーは試合序盤から得意のカウンターアタックが決まり、ペイサーズは強みであったはずのスピードと運動量で劣勢に立たされます。これまでターンオーバーは喫しても、トランジションディフェンスの良さでイージーな失点を食い止めていましたが、この試合でより足が動いているのは明らかにサンダーでした。
また、NBAファイナルになって3ポイントシュート8本すべてを外していたケイソン・ウォレスが前半だけで3本を決め、第2戦の活躍以降は激しいプレッシャーで抑えられていたアーロン・ウィギンズもトランジションから打てたことで前半に3本の3ポイントシュートを決めて、前半終了時点で59-45と14点のリードをもたらします。
ペイサーズはタイリース・ハリバートンがドライブした際に足を痛めて苦戦しますが、ベンチから出たオビ・トッピンやTJ・マッコネルの活躍に加え、NBAファイナル初出場のトニー・ブラッドリーがハッスルプレーでチームを助け、20点差になるのをなんとか防いだ形でした。NBAファイナルも5試合目となり、両チームのスターターでは攻守の切り替えが遅い選手も出てきており、ベンチメンバーの活躍が際立った前半になりました。
サンダーがアドバンテージを取りながら点差を離しきれないとなれば、ペイサーズが逆転するのがファイナルの流れで、やはり後半になるとペイサーズが追い上げを始めます。特にハリバートンがケガの影響でベンチに座る時間が長くなる中、ディフェンスに離されていたマッコネルが3ポイントシュートを沈め、さらにドライブでペイントに侵入してのジャンプシュートを次々に決めていきます。サンダーはシェイ・ギルジャス・アレクサンダーの1on1で取り返しますが、キックアウトからの3ポイントシュートが外れ続け、8点差で第4クォーターに入ることになりました。
しかし、第4戦同様にサンダーのシェイとジェイレン・ウィリアムズの2大エースがペイサーズの流れを断ち切ります。ドライブからのフェイダウェイ、ブロックをかわすフィンガーロールで得点を奪うだけでなく、ディフェンスでも見事なカバーリングからスティールに成功し、ブロックショットでも見せ、攻守に渡ってスペシャルな活躍でペイサーズを突き離して3勝目を手に入れました。
サンダーはジェイレンが40得点、シェイは31得点に加えて10アシスト2スティール4ブロックを記録。これに対して、ペイサーズはパスカル・シアカムが28得点を奪ったものの、ハリバートンは足を痛めたことでドライブを仕掛けられず、すべてフリースローによる4得点に留まりました。中2日でハリバートンが回復するかどうかが、第6戦を大きく左右しそうです。