「ここまで来たら、どの試合も人生最大の試合だ」

NBAファイナルの第5戦はサンダーの完勝に終わった。第1クォーターから10点のリードを奪うと、第4クォーターに1ポゼッション差と肉薄されるシーンもあったが突き放し、一度も同点にされることなく120-109で勝利した。

この試合、ゲームハイの40得点を挙げたのはジェイレン・ウィリアムズで、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーとの両エースがペイサーズ守備陣の弱い部分を的確に突くことで、相手に付け入る隙を与えなかった。

特に第4クォーター残り8分半、パスカル・シアカムの3ポイントシュートで2点差とされた直後、2度のオフェンスリバウンド奪取からの分厚い攻めでウィリアムズが3ポイントシュートを決め返したプレーは、勝敗を分けるポイントとなった。あそこを守り切れなかったことでペイサーズは動揺し、選手交代を挟んでも立ち直れない。ハイテンポな点の取り合いはペイサーズに有利なはずだが、慌ててターンオーバーを連発。そこをサンダーは逃さず速攻に繋げて、あっという間に2桁のリードを奪い返した。

ラスト8分半にサンダーが挙げた25得点のうち、10得点はウィリアムズによるもの。「素晴らしい活躍だった」とシェイは相棒を称えた。「シュートが必要な時に恐れることなく攻め、点を取ってくれた。

ペイサーズ守備陣がシェイに仕掛けるブリッツに対し、パスをさばいてウィリアムズがシュートを放つ。ペイサーズはこの形に対応できなかった。これまでは点の取り合いならペイサーズ、守備が目立つ我慢の展開ならサンダーという構図だったが、点の取り合いでもサンダーが上回ったことは、今後の戦いに大きな影響を与えそうだ。

しかしウィリアムズは、素っ気なくこう語る。「現時点で言えるのは3勝2敗で僕らがリードしていて、もう1勝が必要だということだけ。終わってから振り返った時であれば、それは何かの意味があったと言えるかもしれないけど。僕はただアグレッシブであろうとしているだけなんだ」

それでも、放ったシュートが決まり続ける感覚を問われてこう答えている。「レギュラーシーズンの試合とは全くの別物だ。正直、自分の調子が良いことに気付いていなかった。ひたすらプレーに集中していて、他は何も考えていなかった」

「ここまで来たら、どの試合も人生最大の試合だ」と言い、ウィリアムズはようやく笑顔を見せた。「そのおかげで落ち着いてプレーできるようになった。激しく、果敢にプレーする中で、僕らは自分たちが何を懸けて戦っているかを理解している。今はただ集中して、全力でやるだけだ。結果がどうなろうと、それはそれだよ」