ハリバートン「今日は彼らに勝たせてもらった」
NBAファイナルの第3戦でペイサーズは116-107の快勝を収めたが、立ち上がりにペースを握っていたのはサンダーだった。ティップオフから攻守の強度で圧倒された数分間を経て、リック・カーライルは次々と選手交代を指示する。開始4分半で9点差の場面から投入されたオビ・トッピンとベン・シェパードがディフェンスでの激しさを出すことでサンダーの勢いを削ぐと、第2クォーターにはTJ・マッコネルとベネディクト・マサリンがペイサーズに流れをもたらす。
「正直に言うと助かった。試合序盤の僕らは全然思い通りにやれなかったけど、セカンドユニットがチームに勢いを与え、そこから波に乗れた。今日は彼らに勝たせてもらった」とタイリース・ハリバートンは安堵の笑みで語る。
ハイテンポな展開でスコアリングゲームを得意とするペイサーズにとって、セカンドユニットが先発にも劣らぬクオリティ、先発以上の運動量を出すことは生命線とも言える。先発の5人にマッコネル、シェパード、トッピン、マサリンの9人ローテーション、あるいは控えセンターのトーマス・ブライアントも含めた10人ローテの総合力が、その強さを支えている。
第3戦でヒーローとなったのはマサリンだった。第1クォーターは出番がなかったが、第2クォーター頭から投入されると10分間で14得点を記録した。マサリンは「TJやオビ、シェップ(シェパード)が激しくプレーしていたおかげで、何をすればいいのかは明らかだった」と語る。
試合を通じて27得点はゲームハイの数字。フィールドゴール12本中9本成功、決めた9本のうち5本はペイント内のもので、フリースローも8本をもぎ取った。彼自身の得点も重要だが、敗れた第2戦で課題だったペイントアタックを成功させた意味もまた大きい。
先の2試合で34だったペイント内得点が50に伸びる
サンダーはレギュラーシーズンでのペイント内失点がリーグ最少の42.5で、プレーオフでは40.6とさらに良くなっている。ペイサーズのペイント内得点はレギュラーシーズンで51だったが、NBAファイナル最初の2試合ではいずれも34得点に抑えられていた。ハリバートンが速いペースでボールを動かし、パスカル・シアカムがペイント内で橋頭保を築き、そこにマサリンが飛び込む。そういったオフェンスが機能し、この試合ではペイント内得点が50まで伸びた。
これについてマサリンは「アグレッシブな意識を持つこと。あとは練習でいつもやっている自分の得意なシュートの形に持ち込むだけさ」と多くを語らない。そんなに簡単なプレーではないはずだが、まだ手の内を明かすわけにはいかないのだろう。
ペイサーズは昨シーズンもカンファレンスファイナル進出と結果を残したが、マサリンは肩のケガで3月でシーズンを終えている。当初は肩の脱臼で、数試合の休養で復帰できるはずだったが、肩の関節唇まで損傷していたことで手術が必要となったからだ。
「昨年はベンチにいるだけだったけど、試合の状況に応じてコーチからアドバイスをもらっていた。プレーできないのはもちろん残念だったけど、そこで学べたことが今に繋がっていると感じている」
1年前は立てなかったコートに立ち、自分の能力を思う存分に発揮している今を「夢のようだ」とマサリンは語る。「でも僕は夢ではなく今を生きている。この夢を幸せな形で終わらせたいんだ」