エヴェッサU15のコーチが指導、選手2人が一緒にプレー
7月25日、大阪市の市立中之島小中一貫校体育館で、『安藤財団コーチングアカデミー トップアスリート指導会』が開催された。大阪エヴェッサによるバスケットボールクリニックに、近隣の中学校から25名の男女が参加した。
クリニックを主導したのは、参加者と同年代の大阪エヴェッサU15でアシスタントコーチを務める仲剛士。エヴェッサから参加した合田怜と木下誠の2人が、中学生と一緒にメニューをこなしながらアドバイスを送る形で指導会は進められた。
参加者のレベルに差はあったものの、仲コーチは「大前提として、バスケットボールを『楽しく』やってもらうことを一番に考えています。プロを目指すユースでは厳しく指導することもありますが、クリニックではバスケを好きになってもらうのが目的。ミスを注意するのではなく、チャレンジしたことを褒めます」と説明する。
レイアップも確実に決められるわけではない参加者もいる中で、仲コーチはボールを2つ使ってのドリルや、ユーロステップからのシュートなど、難しい課題も与えた。この理由を仲コーチは次のように説明する。
「シュートが決まっても外れても、褒めたり、細かいアドバイスをしたりすることで子供たちの成長スピードは速くなります。難しいことでも指導者が『この子にはできない』と決め付けるべきではなくて、チャレンジしてうまくいけば成功体験になりますし、そうでなくても『今の良かったよ』と声を掛けられて成功への道筋が感じられれば、明日からの練習がもっと楽しくなります。そういった流れを僕たちが作ることができれば、クリニックには非常に大きな意義があると思います」
仲コーチの考え方を理解している合田と木下も、参加者と一緒にプレーすることを楽しみながら、声を掛けてモチベーションを高め、「ここはこうしてみたら?」と実演とともにアドバイスを送る。限られた時間だったが充実したクリニックとなった。
「バスケを好きになってほしいという気持ち」
練習後には2選手への質疑応答の時間も設けられた。「レイアップを成功させるには」といった技術的な質問から「試合への気持ちの持ち方」というメンタルの話、「身体作りで心掛けていること」といった質問に合田と木下が答えた。
学校でクリニック告知のチラシが配られた時点で「すぐ行こうと決めました」という参加者の2人は、「試合に入る前に、その試合での目標をちゃんと設定する」という合田の言葉に刺激を受け、自分たちも早速、毎日の練習から目標を作ってやろうとモチベーションを高めていた。
最後は合田、木下、仲コーチとのハイタッチでクリニックは終了。参加者はそれぞれ新しいモチベーションを得て、バスケがもっと好きになったはずだ。2人も新たな刺激を得られた様子で、木下はこう語った。
「僕が小学生の時に今野翔太(現・大阪エヴェッサGM)が僕たちの小学校に来て、クリニックをやってくれました。そこでシンプルに『プロってすごい』と思いました。今は僕がこうやってプロの立場になり、いろんな学校に行くようになっています。そこで触れ合う子供たちに少しでも『すごい』と思ってもらい、バスケを好きになってほしいという気持ちでやっています」