「シンプルに優勝リングが欲しい」

琉球ゴールデンキングスは7月29日にメディア公開練習を実施。注目の新戦力である佐土原遼が練習後の会見に出席した。

25歳の佐土原は昨シーズン、ファイティングイーグルス名古屋で58試合に出場、1試合平均29分43秒の出場で12.8得点、3.6リバウンド、2.0アシストを記録。外国籍フォワードにも当たり負けしない強靭なフィジカルを生かしたゴール下への力強いアタックとタフなディフェンスを披露し、リーグ屈指の日本人ウイングプレーヤーとして大活躍だった。

自身の価値を大きく上げた佐土原は、新天地に琉球を選んだ理由を「シンプルに優勝リングが欲しいからです。前所属のFE名古屋では自分の役割を果たしました。プレータイム、得点面でもチームに貢献できたと思います。日本人のエースとしてやっていたことを、強豪のキングスでも引き続きやっていきたいです」と語る。

また、あと一歩で優勝を逃したからこそ、よりハングリーになった琉球の身体を張ってハードワークを徹底するカルチャーとの相性の良さも大きな要因となったと続ける。「キングスはここ4年連続ファイナルに進んだ一方で優勝は1回と、他のチームより悔しい思いをしています。このハングリー精神と、泥臭く粘り強いディフェンス、ハッスルすることで盛り上がるチームスタイルは自分に合っていると思って選びました」

今夏、佐土原は日本代表の合宿に招集され強化試合にも3試合出場したが、アジアカップの代表入りを逃したのは記憶に新しい。この苦い経験も踏まえ、さらなるステップアップのために3ポイントシュートの強化に注力する。「今回アジアカップのメンバーから落とされてしまった理由として3ポイントシュートを打つタイミング、成功率があったと思います。課題として3ポイントシュートを頑張っていきたいです」

「ほとんどメンバーが変わってない中、そこに入るのは難しいこと」

桶谷大ヘッドコーチは、佐土原について「おしゃべりが大好きです。自分がどういう使われ方をするのか、どういう特徴を出したらいいのか、確認作業をすごくしてくれるので、良いコミュニケーションが取れています」と、意思疎通を率先して図る姿勢を評価する。

そして指揮官は、ハンドリングに優れた201cmのヴィック・ローをガードで起用しやすくなるなど、相手の外国籍選手にも体を張って守れる佐土原がいることによって、より戦術の幅が広がると語る。「フィジカルは日本人でも1、2番の強さを持っていていろいろなポジションで使えます。彼がコートに立つことで、これまでにないラインアップが組めたりします」

さらに「特に今回から天皇杯のレギュレーションが外国籍選手は2名登録のオン・ザ・コート1になるので、彼の存在はとても大切になる」と、佐土原の汎用性の高さが天皇杯連覇に向けての大きなカギになると続けた。

リーグ屈指の常勝軍団である琉球に加入した佐土原には、即戦力として大きな期待が寄せられている。そんな周囲からの喧騒にも「昨シーズンとほとんどメンバーが変わってない中、そこに入るのは難しいことだと思います。9月のゲームでは失敗はすることもあると思いますが、いろいろなことを試しながら10月の開幕までにチームにフィットしたいです」と本人はいたって冷静に受け止めている。

そして、次のように意気込む。「SNSなどで『頑張って』というメッセージもたくさん来てうれしく思っています。そこまでプレッシャーには感じていないですが、ファンの皆さんの気持ちに応えるプレーをしていかないと、と責任は感じています。ただ、それはFE名古屋に入った時も一緒でした。注目されるのはプロの良いところで、中には重圧に負けてしまう選手もいると思いますが、重圧を楽しんでプレーをしていきたいです」

まずは9月4日に韓国KBLの昌原LGセイカーズとのプレシーズンゲームが控える。まだまだ試運転とはいえ佐土原がどのようなプレー、役割をこなす姿を見せてくれるのか楽しみだ。