
MVP受賞のシェイ「いつも頼りにできる存在だ」
クリス・ポールはキャリア20年目のシーズンをスパーズで過ごし、全82試合に出場するとともに若手の多いチームでリーダーシップを発揮した。グレッグ・ポポビッチが病気で倒れ、ビクター・ウェンバニャマもシーズン途中で戦線離脱するアクシデントが相次ぎプレーオフ進出はかなわなかったものの、充実したシーズンを送ったと言える。
昨年オフ、ウォリアーズとの契約を解除してフリーエージェントとなった彼は、スパーズと年俸1050万ドル(約16億円)の単年契約を結んだ。今オフに再びフリーエージェントとなる彼は「先のことはまだ何も分からない。その時が来たら今シーズンを振り返り、先のことを考えるよ」と去就について何も語らなかったが、現役続行、そしてスパーズを離れて新天地へと向かうと予想される。
スパーズではステフォン・キャッスルがハンドラーとして大きな成長を見せ、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。2月にはキングスからディアロン・フォックスを獲得。さらにスパーズはロッタリーの結果で、今年のNBAドラフトの2位指名権を得た。今年のドラフトの目玉はデューク大のクーパー・フラッグだが、それに続くのはラトガース大のガード、ディラン・ハーパーで、スパーズはその指名を考えているという。
フォックス、キャッスル、ハーパーがいても、ポールの技術と経験はスパーズの役に立つだろうが、ポールがメインのポイントガードであり続けては、若いガードたちの成長が阻まれてしまう。特にポイントガードは経験がモノを言うポジションであり、先発で試合のトーンを整える場面、勝敗の懸かったクラッチタイムでコートに立ち、成功と失敗を繰り返すことで若手は成長していく。ポールもそれは理解しているが、40歳になった今も第一線でプレーができている以上、『ベンチの重鎮』を受け入れはしないだろう。
「プレーオフに出ることのできない悔しさを噛み締めるために、プレーオフを見に行く」と語っていたポールは、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーのシーズンMVP受賞が決まった次の試合でサンダーのカンファレンスファイナルの会場に姿を見せた。
ポールがサンダーに在籍したのは2019-20シーズンの1年だけ。当時のサンダーは再建へと舵を切ったところで、シェイはキャリア2年目で、クリッパーズからトレードされたばかりだった。ここでポールとともに1シーズンを過ごしたことが、サンダーとシェイの成長に大きな影響を与えた。
シェイは「突然来たから驚いたけど、本当にうれしかった」とポールを歓迎した。「僕にとっての師匠であり兄貴であり、いつも頼りにできる存在だ。僕はいつも彼に助言を求めた。バスケのことはもちろん、ビジネスのこと、身体のケアのこと、家族のこと……。彼はいつも素晴らしいアドバイスをくれたし、何より友人としていつもそばにいてくれたのがうれしかった」
キャリア半ばを過ぎてからのポールは、シェイに限らず多くの若いタレントに自分の知恵と経験を授け、その成長を手助けしてきた。今もまだそれを必要とするチームは多い。すでにマーベリックスやトレイルブレイザーズが移籍先として浮上しているが、彼には多くのオファーが舞い込むに違いない。