クリス・ポールに代わりプレーメークを担い14アシスト
現地3月21日のセブンティシクサーズ戦、スパーズは最大16点のリードを第3クォーターに失い、第4クォーターに主導権を奪われたが、終盤に逆転に成功した。それでも決着は最終盤まで持ち越される。残り1分にクエンティン・グライムズに3ポイントシュートを決められて121-120と1点差に詰め寄られた。
ここでヘッドコーチ代行のミッチ・ジョンソンはタイムアウトを取らなかった。クリス・ポールは第4クォーター中盤に連続ターンオーバーを犯した後にベンチに下がっており、プレーメークはルーキーのステフォン・キャッスルが引き継いでいた。
クラッチタイムの重要な場面でもキャッスルは落ち着いていた。相手の激しいプレッシャーに動じることなくボールを操り、チームメートにポジション取りの指示を送る。キャッスルが慌てることなく時間を使う一方で、シクサーズは逆転を狙う勢いが焦りとなり、意識が前に向きすぎたところで裏のスペースをキャッスルに突かれた。
ショットクロック残6秒でドライブを仕掛けたキャッスルは、相手の注意を引き付けてからキックアウトのパスを送る。デビン・バッセルはすぐさま右コーナーに展開し、ハリソン・バーンズがオープンのコーナースリーを沈めた。キャッスルにアシストは記録されなかったが、勝負どころを任すに足る能力を持っていることを示すプレーだった。
「あの場面はまだ時間も残っていたし、中途半端なプレーをするのではなく、チームとして良いシュートチャンスを作ることを考えた」とキャッスルは言う。「終盤にああいうチャンスを作るために、試合序盤からどのようにパスを出すべきか考えてきた。第4クォーターの終盤に自分たちの望むプレーができて良かったよ」
その後、残り30秒でキャッスルは相手のリスタートのパスを奪うことに成功し、最後はダメ押しの速攻も決めて、128-120での勝利の立役者となった。35分の出場で17得点5リバウンド14アシスト3スティールを記録。彼が2桁のアシストを記録するのは初めてで、「正確には分からないけど、高校の時にも14アシストなんてやったことがないと思う」と笑顔を見せた。
キャッスルは充実したルーキーイヤーを送っており、シーズンが進むにつれて調子を上げている。特に3月に入ってからは平均20.4得点、4.8アシストとスタッツを大幅に伸ばしている。これはビクター・ウェンバニャマとディアロン・フォックスが立て続けにケガでシーズン終了となり、彼にボールが託される機会が増えた結果だが、「フォックスやヴィック(ウェンバニャマ)がいる時は2人がオフェンスの中心だったけど、僕は自由にプレーさせてもらっていた」とキャッスルは語る。
「プレーするのが楽しいんだ。僕は自由を与えられて、思うままにプレーさせてもらっている。それはすごく恵まれていると思うし、シーズンを通してチームメートのことを学んだことで、すべてが噛み合い始めたように感じている」
残念ながらウェンバニャマとフォックスの離脱で、スパーズはプレーオフ戦線から脱落した。それでもスパーズの選手たちはチームと個々の成長にフォーカスして戦い続けている。主力2人を欠いてから初の連勝が、彼らの新たな自信となるはずだ。