「2連勝できてチームとしても大きく前進できた」
4月20日、シーホース三河はアウェーで三遠ネオフェニックスと対戦。チーム屈指の破壊力を誇るセカンドユニットの爆発で流れを引き寄せ、89-73と快勝した。これで三河は同じ中地区首位の三遠相手に価値ある同一カード連勝を達成し、チャンピオンシップ出場へ大きく前進している。
試合は序盤から互いに効果的に3ポイントシュートを沈め互角の展開で終える。第3クォーター早々、三河は三遠の前から当たる激しいディフェンスにミスが増えるが、ここでセカンドユニットが悪い流れを断ち切った。
司令塔の長野誠史が強気のドライブで守備を切り崩し、このクォーターだけで4アシストを記録。そしてジェイク・レイマンが内と外の両方でシュートを沈める。このベンチメンバーのハッスルプレーで勢いに乗った三河は、第4クォーターに入って三遠を圧倒。第4クォーター残り6分の時点でリードを20点にまで広げ、余裕を持って勝利した。
この試合、三河はジェイク・レイマンが28分8秒の出場時間で3ポイントシュート6本成功を含む26得点、長野誠史が21分6秒で10得点12アシスト、前半のヒーローとなった角野亮伍が13得点と、ベンチメンバーで全得点の半分以上となる49得点を記録した。
攻撃の起点として大暴れした長野は、「2連勝できてチームとしても大きく前進できたと思います。前のA東京戦、長崎戦でリードしてまくられるゲームが続いた中、良い形で課題を乗り越えることができました。まだ決まっていないですが、チャンピオンシップに向けて良い準備ができたと思います」と振り返る。
長野が言及するように三河は、12日の長崎ヴェルカ戦で最大27点の大量リードを奪いながら追い付かれ、オーバータイムで敗れた。さらに16日のアルバルク東京戦でも終盤にひっくり返されて逆転負けと、ここ一番で踏ん張れなかった。しかし、この2試合はともにリードを奪った後半に反撃を浴びて肉薄されるも、そこで耐えて再び自分たちの流れを作り出した。
長野も次のように、チームのステップアップを語る。「リードした時、気持ちの部分でもっとアグレッシブに行かないといけないのに、まだ点差があるという雰囲気でやってしまっていた部分がありました。今回は、相手がリーグ上位だからということもありますが、全員が絶対に勝とうという気持ちで最後まで強い気持ちでプレーし、反省を生かせたのは大きいです」
「土台作りを経て、今シーズンは上積みがあります」
この試合に限らず、三河のセカンドユニットはリーグ随一のハイパフォーマンスを見せている。実際ここまで、出場時間の得失点差におけるトップ5は、レイマン、長野、石井講祐、角野亮伍、シェーファー・アヴィ幸樹とすべてベンチメンバーだ。
日本代表の西田優大、一流の点取り屋であるダバンテ・ガードナーなどタレント揃いのスタメン5人と遜色ないクォリティをセカンドユニットが見せていることは三河の大きな強みだ。司令塔としてオフェンスを組み立てる長野は、「昨シーズンからやっているメンバーなので、やりたいことだったり、こういうプレーが嫌だとは理解しあっていることでリズムは良いと思います」と好調の要因を語る。
特に自身の持ち味であるペネイトレイトからのキックアウトで、レイマンが3ポイントシュートを放つホットラインには、「自信があります」と言い切る。
このセカンドユニットには、ライアン・リッチマンヘッドコーチも「シーズンを通して私たちの強みとなっています」と語ると、スタッツを残していないメンバーの貢献度の高さも強調する。
「今日の西田公陽は0得点ですが+10で、重要なオフェンスリバウンドを2つ取りました。アヴィも0得点ですが+11です。彼らはそれぞれの役割でスターとなってくれています。ドック・リバースはセルティックスで優勝した時、チャンピオンになるには全員がそれぞれの役割でスターの貢献をし、すべての時間でハードにプレーしないといけないと言っていました。今日、公陽とアヴィはすべての時間でハードにプレーし、だからこそセカンドユニットが機能しました。彼らのことを誇りに思います」
4月に入ってからの三河は2勝4敗と黒星先行だったが、この連勝で再び上昇気流に乗れる。2年連続へのチャンピオンシップ出場が目前となる中、長野は「昨シーズンの土台作りを経て、今シーズンはしっかりと上積みがあります。ディフェンスのコミュニケーションだったり、オフェンスのやり方でさらにレベルアップしている。今の三河は爆発力があって、より信頼し合うことができています」と昨シーズンからの進化を語る。
そして「残り5試合をすべて勝って40勝を超える。それができれば、自分たち良い波が来ると思います」と、さらなる勢いを得ることに貪欲だ。昨シーズンの三河はクォーターファイナルで連敗し、チャンピオンシップがあっけなく終わってしまった。だが、その雪辱を果たし、旋風を巻き起こせる力を今の三河は確かに備えている。そう言える一番の理由が、長野がコントロールするセカンドユニットの破壊力だ。