ケイド・カニングハム

2008年以来のプレーオフでの勝利「あと3つ勝つ」

ピストンズがニックスに挑んだプレーオフのファーストラウンド第2戦。プレーオフらしく守備が強調されて得点の動かないロースコアゲームをピストンズが100-94で制し、シリーズを1勝1敗のタイに持ち込んだ。

フィジカルなディフェンスとフリースローで得点を繋いだ展開は、決して華やかではなかった。しかし、これはまさしく『ピストンズらしい勝利』だった。一般的にはケイド・カニングハムが33得点12リバウンドの活躍でチームを勝利に導いたと見られるだろうが、アイザイア・スチュワートが膝のケガで欠場する状況でジェイレン・デューレンがステップアップし、ベンチのポール・リードも奮起。アサー・トンプソンがジェイレン・ブランソンへの『攻撃的な守備』を徹底し、彼がファウルアウトになった後はデニス・シュルーダーがその仕事を引き継いだ。トバイアス・ハリスはカール・アンソニー・タウンズを攻撃でも守備でもリバウンドでも上回った。ゲームウィナーを決めたのはシュルーダーだ。

ピストンズのフィールドゴールは74本中33本成功の44.6%、3ポイントシュートは27本中6本成功の22.2%で、11のアシストに対して15のターンオーバーを記録しており、とても勝ったチームのスタッツには見えない。しかし34本のフリースローを獲得し、リバウンドで48-34と上回った。

ニックスの指揮官、トム・シボドーは自分たちにフリースローが与えられない判定の偏りに文句を言ったが、ブランソンは巧みなシュートフェイクでトンプソンを退場に追い込み、ハリス相手にも同じプレーで3本のフリースローを得ている。ブランソンの技術に引っかかったケースを除けば、激しく執拗に、なおかつファウルにならないギリギリのディフェンスをしたピストンズが称えられるべきだろう。

若手を育てるとともに、他のチームで評価されなかったベテランを再生させてタフに戦えるチームを作り上げたJ.B.ビッカースタッフは「すべてが我々にとっての学びだ。選手たちも私自身も初めてのことを経験している。我々に与えられる試練や挑戦は、すべてが素晴らしいものだ」と語る。

ピストンズにとって、この勝利は2008年以来となるプレーオフでの勝利となる。6年連続のカンファレンスファイナル進出を果たした2007-08シーズン以降、プレーオフ進出は3度だけ。そのいずれもファーストラウンドでスウィープ負けを喫している。

「デトロイトを代表する成果を挙げられて良かった。今こそホームに戻って、デトロイトのファンの前でプレーする時だ」とカニングハムが気合いを入れた一方で、控えではあってもセブンティシクサーズで毎年プレーオフを経験してきたリードは「あと3つ勝たなきゃいけないんだから、今ここで喜んでも意味はない」とクールに語り、こう続けた。

「内心はめちゃくちゃ興奮しているけど、まだ騒いじゃダメだと分かっているから真面目な表情を作っているんだ。このシリーズを勝ち上がった時に、心から笑うつもりだよ」