カワイ・レナード

「ただ一生懸命にプレーして、それを楽しむんだ」

ナゲッツとクリッパーズのファーストラウンド第2戦は『これぞプレーオフ』と呼ぶべきレベルの高い攻防となった。長らく苦しんだ膝のケガから解放されたカワイはフィールドゴール19本中15本成功の39得点を記録。ナゲッツはアーロン・ゴードンを中心に厳しくマークしたが、カワイのアタックを止めることはできなかった。

「カワイがやってくれると信じていた」とクリッパーズを率いるタロン・ルーは語った。「これがカワイの生きる道なんだ。彼はプレーオフでこういうプレーをする瞬間のためにずっと努力してきた。コンディションが万全なカワイがいればどんな相手にも勝てる。それを今日の彼は示してくれた」

レギュラーシーズンでカワイは37試合にしか出場していない。膝のケガで今シーズンの初出場は1月までずれ込み、その後も試合を終えるたびに膝に腫れがないか、痛みがないかを確認しながらプレーしてきた。その間にオフェンスを牽引してきたジェームズ・ハーデンは、今日のカワイの出来を見て終盤のポゼッションのほとんどを彼に託した。

ハーデンはこんな言葉でカワイを称えた。「シュートを外すようには見えなかったよね。誰がマークしても、自分の望む位置から素晴らしいシュートを放つ。こういう時の勝負強さは半端じゃない」

この試合のヒーローとなったカワイは、こういった仲間たちに支えられる感謝をまず語った。「このリーグにいる人なら誰でも、ケガから復帰してプレーする難しさを分かっている。同じような経験をしている仲間たちが支えてくれるのは本当にありがたい。プレーオフに入る前に、何人かには感謝の気持ちを直接伝えさせてもらった」

ヨキッチは後半フル出場、トリプル・ダブルと痛いミス

第1戦でのカワイは22得点を挙げたものの、アシスト2に対して7ターンオーバーとミスが目立った。それが今回は5アシストを記録してターンオーバーは1と、プレーメークを大きく改善させている。「ターンオーバーは相手が素晴らしいディフェンスをした結果だから気にしていない。ただ勝つために、自分の集中を最大限まで高めようとした。自分らしいシュートを打ち、結果がどうあれそれを受け入れる。ただ一生懸命にプレーして、それを楽しむんだ」

逆にナゲッツは、勝った第1戦よりも各選手の奮闘が目立ったが、接戦の終盤にイージーなターンオーバーをいくつか犯した。今日のカワイを止められないのは仕方ないが、ニコラ・ヨキッチのパスミス、マイケル・ポーターJr.がファンブルでボールを失ったことが勝敗を分けた。ヨキッチは26得点12リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録したが、後半は24分フル出場で勝負どころで疲れがプレー精度に影響したことは否めない。

健康を取り戻した今、カワイはプレーオフの戦いを存分に楽しんでいる。「自分のコンディションが以前と比べてどれぐらいなのか分からないけど、動けているだけで幸せだ。試合が終わって健康であることを誇らしく思う。ここ数年のプレーオフは見るだけだったから、コートに立てることが本当にうれしい。どんな結果になっても楽しめている」

ケガは過去のことであり、かつての自分のプレーも過去のものと彼は考えている。「今日の試合は過去に経験したどの試合とも違う。『以前のようにプレーする』というつもりでやっているわけじゃないんだ。もっと上手くやれるかもしれないし、逆にダメになるかもしれないけど、それは問題じゃない。ただ今この瞬間に集中して、そのことを楽しみ、結果を受け入れるだけさ」